山形のブランド米「はえぬき」の特徴やおすすめの食べ方は?

管理栄養士の大槻万須美です。

日本には数多くのお米が作られていますが、主食用として栽培されているのは300種ほど。その中でも実際に食べたことのあるお米は何種類くらいあるでしょうか。

もしかすると知らないところで誰もが口にしたことがあるかもしれない、米どころ山形県のブランド米「はえぬき」についてご紹介します。


はえぬきってどんなお米?


業務用のお弁当やコンビニのおにぎりなどで高い需要を誇っている「はえぬき」。名前は聞いたことがなくても、食べたことのある人はとても多いかもしれません。

はえぬきは、米どころ山形県で生まれ育ったブランド米です。

山形県庄内平野の山形県農業試験場庄内支場で、「庄内29号」と「あきたこまち」を交配して10年の歳月をかけ開発され、1992年に登録。米が大きく飛躍し続けることを願って「はえぬき」の名前がつけられました。

どんなお米にもひけをとらない品質の高さと最高レベルの食味を目指して作られたはえぬきは、「ササニシキ」の後継として、山形県の主力品種に成長しました。

寒さに比較的強いうえに倒れにくく、いもち病に強い栽培特性のおかげで、年産ごとの収量や品質が安定しているため、現在では、お米の収穫量第4位(2022年産水稲)である山形県において、作付けシェアの6割以上を占めています。

豊かな土壌やきれいな水、恵まれた日照、季節・昼夜間に大きな寒暖差のある山形県の気候風土に合わせて開発され、他の地域では山形県産ほどの品質には育たないといわれていることもあって、はえぬきのほとんどが山形県産です。

産地がほぼ山形県に限定されていながら、日本における米の品種別作付割合(2021年産)は第6位と上位に位置付けています。その名を一度ならずとも聞いたことがある方もいるかもしれませんね。

毎日のお弁当に! はえぬきの魅力とおすすめの食べ方



はえぬきは、お米の粒がしっかりとしていて心地よい歯ごたえがあり、ふっくらとしていてほぐれやすく、ほどよいうま味と甘みが魅力です。

ある炊飯特性検査において、味、香り、外観、食感、粘りなどのすべての項目において評価が高い結果に。

日本穀物検定協会の食味ランキング「特A」を連続取得したことのある実績は、魚沼産コシヒカリに並ぶともいわれるほどです。

食感や味の評価は最高レベルでありながら、クセが強くないことから、やさしい味の料理から味の濃い料理まで、和・洋・中などさまざまな料理に合わせやすく、主食として食卓を支えてくれるようなオールマイティなおいしさをもっています。

噛みごたえがあるしっかりとした米粒は、カレー・チャーハンなどにも最適で、細長いアジアのお米ほどパラパラはしていませんが、ほどよく口の中でほどけるような感覚を楽しめます。

そして最大の特徴が、冷めてもおいしく食べられるということ。

冷めたごはんでも適度なもっちりとしたやわらかさを保ち、噛めば噛むほど引き出されるほのかな甘みも健在。冷めてもおいしく飽きのこない味わいは毎日のお弁当におすすめですよ。強めににぎっても粒がくずれにくいので、おにぎりにも向いています。

そして、ぜひはえぬきで作ってみたいのが、山形ならではの庄内地方の郷土料理「弁慶飯」。

弁慶飯とは、丸くて平たいおにぎりに味噌を塗って、青菜漬けで包んで香ばしく焼いたもので、昔から毎日の農作業の合間にも食べられていたとか。はえぬきで作った弁慶飯を食べると、稲穂の揺れる庄内平野の豊かな自然を思い描くことができそうです。


気になる炊き方ですが、特に難しいコツなどないのがはえぬきの良さの一つ

ごはんの表面がべたべたしにくいため、炊飯時の水加減の対応力も抜群で、普通の炊き方で十分おいしく炊き上がるので、水加減に神経質になることもありません。

バランスのよい、マルチなおいしさをもつはえぬきは、知名度がそれほど高くはないため、品質の高さのわりにはお手頃価格でコストパフォーマンスも高いといわれています。

業務用のお弁当やコンビニのおにぎりなどにも広く使用されているため、知らない間に口にしていることもあるでしょう。はえぬきの食べ慣れたおいしさにやみつきになるかもしれませんね。


農林水産省:「はえぬき」の名前の由来は何ですか。
https://www.maff.go.jp/j/heya/kodomo_sodan/0405/04.html
公益社団法人 米穀安定供給確保支援機構:令和3年産 水稲の品種別作付動向について
https://www.komenet.jp/pdf/R03sakutuke.pdf

大槻万須美
管理栄養士・フードスタイリスト。楽しく食べて健康に。食の大切さを伝えるため、離乳食講座などの料理教室、バレエダンサーやアスリートのパーソナル栄養サポート、レシピ・コラムの提供など幅広く活動。子どもの頃の毎年の米作り経験から、身近な食体験の重要性についても実感し、おとなと子どもの食育サポートにも力を注いでいる。


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【コラム】好みのお米を見つけよう!コメ銘柄事典
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. さとうまちこ
    さとうまちこ
    宮城県の南の方で小さな兼業農家をしています。りんご農家からお米と野菜を作る農家へ嫁いで30余年。これまで「お手伝い」気分での農業を義母の病気を機に有機農業に挑戦すべく一念発起!調理職に長く携わってきた経験と知識、薬膳アドバイザー・食育インストラクターの資格を活かして安心安全な食材を家族へ、そして消費者様に届けられるよう日々奮闘中です。
  3. 北島芙有子
    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
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    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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