11月に進めたい露地野菜の資材整理|収穫後の回収・保管でムダな買い足しを防ぐ

キャベツやブロッコリー、ニンジンなど、秋冬野菜の収穫が終わった圃場では、次作に向けてマルチや灌水チューブ、支柱などの撤去が始まります。しかし、次の作付けや出荷作業に追われ、回収した資材をとりあえず倉庫へ運んでいる農家も少なくないのではないでしょうか。

その場では片付いたつもりでも、次に使おうとしたときに、支柱が足りない、灌水チューブの継手が見つからない、保管していたネットが破れていた、といったことも起こります。結果として、忙しい作付け前に買い足しや補修に追われることになりかねません。

こうした手間や無駄な出費を減らすには、収穫後のうちに次作を見据えて資材を仕分け、使用できる数量や保管場所を記録しておくのが一つの手です。ただし、すべての資材を細かく数えるのではなく、不足すると作業が止まる小物や、補修の多い資材から始めてもよいでしょう。

今回は、露地野菜の収穫後に取り組みたい資材回収と保管のコツを紹介します。

(イラスト原案:SMART AGRI編集部、作成:ChatGPT)

回収時に「再利用・補修・廃棄予定」を仕分ける


収穫後の片付けでは、畑から資材を撤去することが先になりがちです。しかし、使える物と傷んだ物をまとめて倉庫へ運ぶと、次作で仕分け直す手間が生まれます。

そこで試したいのが、回収時に「再利用」「補修」「廃棄予定」の3つに分けるやり方です。圃場で細かく点検する余裕がなければ、傷んだ物だけを別の束や袋に分け、作業場で詳しく調べても構いません。

資材ごとに見る箇所を決めておくと、作業を進めやすくなります。

  • 支柱・トンネル資材 ‥‥‥‥‥‥ 曲がり、さび、亀裂、接合部の変形
  • 防虫ネット・不織布 ‥‥‥‥‥ 破れ、ほつれ、固定部分の傷み
  • 灌水チューブ・ホース ‥‥‥‥‥ 穴、裂け、折れ、継手の破損
  • 固定ピン・押さえ具 ‥‥‥‥‥ 曲がり、欠損、数量の不足

支柱は、曲がりや腐食によって強度が落ちていないかを調べます。防虫ネットは小さな破れが害虫の侵入口になることもあるため、広げて点検するとよいでしょう。

灌水チューブは見た目に穴がなくても、摩擦や折り曲げ、紫外線などによって傷んでいる場合があります。製品によって耐久性や再利用の可否が異なるため、メーカーの取扱説明書に沿って点検します。再利用できる製品なら、次作で使う前に通水し、水漏れや目詰まりを調べておくと安心です。

毎年同じ場所でチューブが破損する場合は、設置場所の石や突起物、撤去時の引きずり、使用水圧なども調べてみましょう。単に買い替えるだけでなく、破損した原因を探ることが、翌年の出費を減らすヒントになります。

傷んだ資材をすべて補修するとは限りません。次作で使わないネットを急いで直すより、すぐに使う支柱や灌水資材を先に補修するほうが、作付け前の負担を抑えられるでしょう。

なお、使用済みの農業用プラスチックは産業廃棄物に当たり、農業者には適正に処理する責任があります。農ビや農ポリなどを分け、異物の除去や梱包については、地域の回収条件に従います。


圃場で数え、付属品までそろえて回収する


資材回収では、どこまで作業を進めれば完了とするかも見直したいところです。多少手間がかかっても、保管と記録を徹底することが、無駄な買い足しを防ぐことにつながります。

畑から運び出しただけでは、倉庫に資材があっても、どの圃場で使った物か、いくつ残っているかがわからなくなることも。

そこで、数量と付属品を確認し、保管場所に収めて記録するまでを、一連の作業として考えましょう。

キャベツやブロッコリーの栽培で使うトンネル資材なら、支柱だけでなく、ネットや固定ピンも一緒に回収します。ニンジンの栽培で使った不織布や押さえ具も、組み合わせて数えておくと便利です。

意外と見落としやすいのが、大きな資材よりも小さな付属品です。

支柱やネットがそろっていても、固定ピンが足りなければ設置作業が滞ります。灌水チューブも継手や末端止具がなければ、すぐには使えません。

春に一緒に使う資材は、例えば次のように組み合わせて回収します。

  • トンネル資材‥‥‥‥‥ 支柱・ネット・固定ピン
  • 灌水資材‥‥‥‥‥ チューブ・継手・末端止具・フィルター
  • 被覆資材‥‥‥‥‥ 不織布・押さえ具・固定ひも

数え方もそろえておきます。支柱は20本で1束、ネットは幅と長さを記入して1巻とするなど、使用時に誰でも確認しやすいようそろえておくと便利です。

すべてを1本ずつ数えるのが難しければ、圃場では束数や袋数を記録し、倉庫で詳しく点検してもよいでしょう。複数人で作業する場合は、圃場番号と資材名、数量を書いた札を付けておくと、ほかの畑の物と混ざるのを防げます。

なお、生分解性マルチは通常のポリマルチと扱いが異なります。農林水産省では、収穫後に放置すると分解が進みにくく、飛散する場合があるため、速やかに土壌中へしっかりすき込むよう案内しています。

(イラスト原案:SMART AGRI編集部、作成:ChatGPT)

春に使う順番で保管し、不足数まで記録する


資材を倉庫に収める際は、種類別に並べるだけでなく、次作で使う順番を意識してみましょう。

トンネルを設置するなら、支柱、ネット、固定ピンを近くに置きます。灌水設備なら、チューブと継手類を同じ区画にまとめます。一緒に使う物を近くに置けば、積み込みのたびに倉庫内を行き来する手間を減らせるでしょう。

早く使う物を手前へ置くほか、保管スペースが限られる場合は、札や色分けで用途を示す工夫もあります。

保管前には、ネット類の汚れを落として十分に乾燥させ、再利用する灌水資材は製品の指示に沿って水を抜きます。支柱は転倒しない場所にまとめ、資材の変形や日光による劣化を避けられる環境を選びましょう。

もう一つ取り入れたいのが、「回収数量」「使用可能数量」「次作で使う数量」を分けて記録することです。

支柱を160本回収しても、次作で200本使うなら40本足りません。防虫ネットが10巻あっても、3巻が補修待ちなら、すぐに使えるのは7巻です。

この差がわかれば、手持ちの資材で間に合う物、補修する物、買い足す物を分けられます。

資材回収・保管チェック表(記入例)

資材 回収数 使用可能数 次作使用予定数 保管場所 次の作業
防虫ネット 10巻 7巻 10巻 北倉庫・棚A 3巻補修
支柱180cm 160本 160本 200本 資材庫・西壁 40本購入
固定ピン 5袋 4袋 5袋 南倉庫・棚B 1袋選別
灌水チューブ 3巻 2巻 3巻 北倉庫・棚C 1巻点検
使用済み
ポリマルチ
6梱包 ― ― 廃プラ一時
保管場所
回収日を
調べる
※数量は架空の記入例です。同じ規格・容量でそろえた場合を想定しています。

紙の台帳でもスマートフォンでも構いません。まずは使える数量と保管場所、次の作業を記録し、補修や購入を終えたら書き換えます。担当者や更新日も残しておけば、複数人で作業する農家でも情報を共有しやすくなります。

ここで気を付けたいのは、補修待ちの物を購入すべき不足数にそのまま加えないことです。手直しで使えるようになる物と、買い替える物を分けておけば、余分な購入を防げます。

廃棄する資材は再利用品と分け、飛散や流出を防げる場所で一時保管します。農林水産省の「国際水準GAPガイドライン」でも、廃棄物の適切な取扱いが示されています。


片付けは次作の在庫準備と考える


収穫後の資材回収は、畑から運び出せばひと区切りです。しかし、次作まで見据えるなら、使える物を仕分け、付属品をそろえ、不足する物を洗い出すところまで済ませておきたいものです。

その際、回収した数と、すぐに使える数を分けて記録しておくと、補修や買い足しの予定を立てやすくなります。毎年同じ物が壊れたり紛失したりする場合は、保管場所や撤去作業を見直すきっかけにもなるでしょう。

すべてを一度に始めるのが難しければ、まずは固定ピンや継手などの小物、補修することの多いネット類から試すのも一案です。

回収した資材が春にいくつ使えるかを把握し、足りない物を早めにそろえておく。11月の片付けを次作の在庫準備まで含めた仕事にすることで、忙しい作付け前の探し物や急な買い物を減らせるようになります。



参考資料
農林水産省「農業由来廃プラスチック適正処理対策」
農林水産省「プラスチックと賢く付き合うための 農業⽣産現場での取組」
農林水産省「農業生産における生分解性マルチの利用」
農林水産省「国際水準GAPガイドライン」


【特集】野菜栽培のノウハウ集
SHARE

最新の記事をFacebook・メールで
簡単に読むことが出来ます。

RANKING

WRITER LIST

  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. 北島芙有子
    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
  3. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
  4. 鈴木かゆ
    鈴木かゆ
    1993年生まれ、お粥研究家。「おかゆ好き?嫌い?」の問いを「どのおかゆが好き?」に変えるべく活動中。お粥の研究サイト「おかゆワールド.com」運営。各種SNS、メディアにてお粥レシピ/レポ/歴史/文化などを発信中。JAPAN MENSA会員。
  5. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。