玄米の「びっくり炊き」に挑戦!無吸水・炊飯器で玄米を炊く(前編)

玄米の炊飯方法をインターネットで調べてみると、「吸水時間を長くとる」とか「鍋で炊く」と書かれているものが多く見つかります。

筆者はこれまで玄米食に興味が無かったわけではありませんが、「そんなに手間がかかるなら白米で良いわ」と、手を出してきませんでした。しかし、根気よく調べてみると「吸水させなくても炊ける」「炊飯器でも炊ける」という情報も出てくるではありませんか。

無吸水かつ炊飯器でも玄米を美味しく炊くことができるという情報は、本当なのでしょうか。実際に炊いて、確かめてみます!

無吸水で炊いてみる2種類の玄米を紹介

今回は特性の異なる2種類の玄米を使い、2種類の炊き方を試してみようと思います。

【A】新潟県産コシヒカリ玄米(特別栽培米)


こちらは筆者の家にあった一般的な玄米。米どころ新潟県の米農家から直接購入した玄米で、新潟県認証の特別栽培米、品種は「コシヒカリ」です。


脱穀後、色彩選別機によりゴミや傷みのある米粒が取り除かれた玄米。表面はなめらかでツヤがあります。

【B】青森県産まっしぐら無洗米玄米(残留農薬不検出)


もう1種類は「スマート米」です。

銘柄は青森県産「まっしぐら」。令和元年産米の食味ランキングで最高ランク「特A」の評価を得た銘柄であり、さらにこの「スマート米」は残留農薬不検出とのこと。

食味・安全性ともに新潟県産特別栽培コシヒカリに勝るとも劣らない経歴の持ち主です。


そして、今回のテーマである「無吸水かつ炊飯器で炊く」という点において最も重要なのは、このお米が無洗米玄米ということ。


「無洗米玄米」とは何かというと……こちらの写真をご覧ください。


米粒をよく見ると、さきほどの玄米とは様子が異なります。表面がガサガサで、たくさんの傷がついていますね。

これが「無洗米加工」の痕跡です。専用の機械を使って玄米表層の「ぬか層」に細かな傷をつけることで浸水しやすくなっているとのこと。まさに無吸水かつ炊飯器で炊くためにあるとも言える玄米なのです。

一般的な玄米と、無吸水炊きに最適化された無洗米玄米。手軽に美味しく炊けるのは、どちらの玄米なのでしょうか。

普通の玄米を「びっくり炊き(炊飯器バージョン)」で炊いてみる

それでは玄米を炊いてみましょう。まずは一般的な玄米代表の【A】新潟県産特別栽培コシヒカリ玄米から。

一般的な玄米を無吸水で炊飯する方法としては、秋田に伝わるといわれる「びっくり炊き」を採用しました。土鍋を使って炊くレシピが多くありますが、今回はごくごく一般的な炊飯器を使って炊いてみます。

1.玄米をはかり、洗う


玄米1合(156g)を量り、洗います。


玄米の洗い方はこちらの記事<栄養満点の玄米のふっくらおいしい炊き方~炊飯器・圧力鍋~>を参考にしました。

玄米表面に傷をつけ吸水しやすくすることを狙って、ざるの中に玄米を入れて泡立て器をつかってガシャガシャかき混ぜるのだとか。

今回は「手軽に美味しく炊ける」ことを最重視しているので、お米洗いはこの1回で終わりとします。

2.吸水時間を置かずに1回目の炊飯

玄米をザルにあげて水気を切り、あらかじめはかりにのせておいた炊飯器釜に移します。

水加減は、玄米1に対して水が1.1を超える程度に調整します。炊き上がりの好みで水分量は変わりますので、何度か試しながら自分に合った水分量を探してみてください。


今回使用している玄米は1合156gですので、玄米とお水の総重量が328gになるように調整しました。
計算式は【156g×1.1+156g=327.6g】です。

炊飯器に釜をセットし、早炊きモードで1回目の炊飯スタート。


3.びっくり水を足して2回目の炊飯

炊けるのを待つ間に、2回目の炊飯に使う「びっくり水」を準備しておきます。


びっくり水はお米と同量を用意。今回使用している玄米は1合156gですので、びっくり水も156g使用します。

30分ほどで1回目が炊き上がりました。


炊飯器のふたを開け、びっくり水を注ぎ入れてしゃもじで混ぜます。


再び早炊きモードで2回目の炊飯をスタートして、25分後、炊き上がりふたを開けると……


白米の炊き上がりよりもふっくら感やねばり感が少ないようにみえますが、少しつまんで味見すると炊けているようでしたので良しとします。

後編では、【B】無洗米玄米を白米と同様に炊き、両者を比較します。

【後編はこちらから!】

■新米もいよいよ登場、安心・おいしい「スマート米」

全国各地のこだわりの農家さんと、スマート農業でお米づくりをしている「スマート米」は、先進のIT技術を利用し、農薬や肥料の使用量を最小限に抑えて育てたお米です。特別栽培米や残留農薬不検出のお米も。各地のおいしい銘柄をラインナップしています。白米と同じように手軽に炊ける無洗米玄米もあります。お求めはスマート米オンラインショップ SMART AGRI FOOD  からどうぞ。

【コラム】今日から始める玄米生活
SHARE

最新の記事をFacebook・メールで
簡単に読むことが出来ます。

RANKING

WRITER LIST

  1. よないつかさ
    1994年生まれ、神奈川県横浜市出身。恵泉女学園大学では主に有機栽培について学び、生活園芸士の資格を持つ。農協に窓口担当として5年勤め、夫の転勤を機に退職。アメリカで第一子を出産し、子育てをしながらフリーライターとして活動。一番好きな野菜はトマト(アイコ)。
  2. syonaitaro
    1994年生まれ、山形県出身、東京農業大学卒業。大学卒業後は関東で数年間修業。現在はUターン就農。通常の栽培よりも農薬を減らして栽培する特別栽培に取り組み、圃場の生産管理を行っている。農業の魅力を伝えるべく、兼業ライターとしても活動中。
  3. 槇 紗加
    1998年生まれ。日本女子大卒。レモン農家になるため、大学卒業直前に小田原に移住し修行を始める。在学中は、食べチョクなど数社でマーケティングや営業を経験。その経験を活かして、農園のHPを作ったりオンライン販売を強化したりしています。将来は、レモンサワー農園を開きたい。
  4. 沖貴雄
    1991年広島県安芸太田町生まれ。広島県立農業技術大学校卒業後、県内外の農家にて研修を受ける。2014年に安芸太田町で就農し2018年から合同会社穴ファームOKIを経営。ほうれんそうを主軸にスイートコーン、白菜、キャベツを生産。記録を分析し効率の良い経営を模索中。食卓にわくわくを地域にウハウハを目指し明るい農園をつくりたい。
  5. 田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。