簡単に炊ける「無洗米玄米」に挑戦!無吸水・炊飯器で玄米を炊く(後編)

吸水時間を置かず、かつ炊飯器での炊飯でも「玄米」を美味しく炊くことはできるのでしょうか。筆者が実際に炊いて検証します!

検証するのはこの2つ。
一般的な玄米の【A】新潟県産特別栽培コシヒカリ玄米
無洗米玄米の【B】青森県産まっしぐら無洗米玄米

前編では、一般的な玄米を「びっくり炊き(炊飯器バージョン)」で炊いてみました。後編では、無洗米玄米を白米と全く同じ方法で炊いてみます。

【前編はこちら】
無吸水・炊飯器で玄米を炊いてみる(前編)「びっくり炊き」に挑戦

無洗米玄米を白米と全く同じ方法で炊いてみる

1.玄米を、はかって洗う



後編では、【B】青森県産まっしぐら無洗米玄米を炊きます。

「無洗米玄米」とは、無洗米加工が施されているため浸水しやすく「白米と同様の方法で炊ける」との触れ込みの玄米です。そこまで自信があるのなら容赦はしません。いつもの白米と同様に炊くことにします。

筆者はいつもの白米は無洗米を使い、1回すすいでから炊いています。今回もいつもと同様に、1回だけすすぎます。


もっと研いだ方が良いのだろうか……という気持ちをこらえ、さっとかき混ぜてからすぐに水を切ります。


2.玄米に水を足し、吸水時間を置かずに炊飯開始


炊飯釜をはかりにのせて釜の重量を除いてから、玄米を入れ、水加減を調整します。いつもの白米と同じように、お米1に対して水1.5の重量にします。


今回使用している玄米は1合156gですので、玄米とお水の総重量が390gになるように調整しました。
計算式は【156g×1.5+156g=390g】です。


すぐに炊飯釜を炊飯器にセットし、吸水時間を置かずに白米モードで炊飯スタート。

50分後、炊き上がりふたを開けると……


薄めの茶色の米粒で、ふっくらとねばりがあるように見えます。

炊き上がりをチェック!まずは見た目から


それでは両者を評価していきます。

白いお茶碗が【A】びっくり炊きの一般的な玄米。


黒いお茶碗が【B】白米と同様に炊いた無洗米玄米。


まずわかるのは、ごはん粒の色が違うこと。一般的な玄米よりも無洗米玄米の方が薄い色をしています。

ごはん粒をアップで見てみるとどうでしょう。


見やすくするために、おにぎりにしてみました。左が【A】一般的な玄米、右が【B】無洗米玄米です。両者ともぬか層の皮を破って白い肌がのぞいていますが、無洗米玄米の方がごはん粒表面のなめらかさが強いように見えます。

いよいよ実食!気になる味・食感は?

それでは肝心のお味の評価です。まず、【A】びっくり炊きの一般的な玄米から食べてみます。


箸にとってみたところ、ごはん粒がポロポロと落ちてしまいました。ねばり気が少なくてごはん粒がまとまらないようです。

口に含むと、香ばしさのある風味とともに、お米の甘みが広がりました。気のせいかもしれませんが、白米で食べる時よりも甘いように感じます。

ごはん粒にはしっかりとした噛み応えがあり、咀嚼している実感があります。玄米ごはんは「つぶつぶとした食感」と表現されることがありますが、正にその通りだと思いました。

これはすごく美味しい。柔らかくて甘い白米とは違う美味しさがあります。


一方、【B】白米と同様に炊いた無洗米玄米は、先ほどのようにポロポロと箸から粒が落ちることはありませんでした。適度なねばり気があることがわかります。

口に含むと……おや、玄米っぽさがあまりありません。わずかに玄米の風味はありますが、先ほどのように「香ばしい」と感じるほどではありません。

ごはん粒も【A】と比べて明らかに柔らかく、食べやすいです。

どちらもそれぞれの美味しさがあり、甲乙つけがたい評価となりました。

どちらが手軽に炊けた?

最後に炊飯にかかった手間を比較し「どちらが手軽に炊けたのか」を評価します。

【A】普通の玄米で「びっくり炊き」=合計62分
計量・すすぎ・・・5分
早炊き炊飯1回目・・・30分
びっくり水を入れて混ぜる・・・2分
早炊き炊飯2回目・・・25分

【B】無洗米玄米を白米と同様に炊く=合計55分
計量・すすぎ・・・5分
炊飯・・・50分

両者の作業時間を比較すると、その差は7分。これをどうとらえるかは人によりますが、筆者の感覚ではそれほど大きな差ではないと感じます。

しかし、手間の面ではかなりの差がありました。1回目の炊飯を終えてからびっくり水を入れて混ぜ、再炊飯する【A】よりも、いちど炊飯して終わりの【B】の方が圧倒的に手間は少なかったです。

結論!美味しく炊けたのはどっち?

【A】普通の玄米で「びっくり炊き」 vs 【B】無洗米玄米を白米と同様に炊く。手軽に美味しく炊けたのは、一体どちらだったのでしょうか。

結果はこちら。


合計点数が上回ったのは【B】無洗米玄米を白米と同様に炊くでした。

とはいうものの、【A】普通の玄米で「びっくり炊き」が劣っているかというと、決してそうではないような……。というわけで、もうひとつの結論がこちらです。

  • “玄米らしい美味しさ”を手軽に生活に取り入れたい方には、【A】普通の玄米で「びっくり炊き」がおすすめ。
  • 玄米の味が苦手だけど健康のために玄米を食べたい方や、とにかく手軽に玄米を食べたい方には【B】無洗米玄米を白米と同様に炊くのがおすすめ。

炊くのにすごく手間がかかると思っていた玄米が、無吸水・炊飯器でも美味しく炊けることがわかりました。筆者の場合、この結果であれば、いつもの生活に玄米食を取り入れることは十分可能だと感じました。

これまで手間がネックで玄米食に躊躇していたみなさん、自宅で玄米を炊く暮らしに挑戦してみてはいかがでしょうか。


■新米もいよいよ登場、安心・おいしい「スマート米」

全国各地のこだわりの農家さんと、スマート農業でお米づくりをしている「スマート米」は、先進のIT技術を利用し、農薬や肥料の使用量を最小限に抑えて育てたお米です。特別栽培米や残留農薬不検出のお米も。各地のおいしい銘柄をラインナップしています。白米と同じように手軽に炊ける無洗米玄米もあります。お求めはスマート米オンラインショップ SMART AGRI FOOD  からどうぞ。

【コラム】今日から始める玄米生活
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  1. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  2. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  3. 石坂晃
    石坂晃
    1970年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、福岡県の農業職公務員として野菜に関する普及指導活動や果樹に関する品種開発に従事する一方、韓国語を独学で習得(韓国語能力試験6級)。退職後、2024年3月に玄海農財通商合同会社を設立し代表に就任、日本進出を志向する韓国企業・団体のコンサルティングや韓国農業資材の輸入販売を行っている。会社HP:https://genkai-nozai.com/home/個人のブログ:https://sinkankokunogyo.blog/
  4. 川島礼二郎
    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 堀口泰子
    堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
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