玄米ダイエットに失敗?管理栄養士が教える成功のポイント

管理栄養士の大槻万須美です。

玄米食はダイエットに効果的という話を聞いたことがあるでしょうか。玄米はダイエットをする方にとってさまざまなメリットがあります。

しかし、玄米がダイエッターにおすすめされる一方で、あまり効果が出なかったという声もあります。

なぜ失敗してしまうのか、失敗しないようにするためにはどうすればよいのか、ダイエットをする際に気をつけておきたいポイントも含めて、玄米ダイエットが気になる方や今から始める方に向けて解説いたします。


ダイエット中に気をつけたい栄養不足


ダイエットをする際には、まずエネルギー(カロリー)の収支をマイナスにするという方法が一般的ですが、単にエネルギーを減らすということだけをしてしまうと、必要な栄養素の不足や、食事の栄養バランスの崩れなどが起こりやすくなります。

無理な食事制限により、さまざまな健康上の問題点につながってしまうこともあります。

  • 疲れやすくなる
炭水化物やビタミンB群が摂れていないことでエネルギーの代謝がされにくくなり、パワー不足に陥ります。エネルギー代謝が悪くなると冷え性につながることもあります。

  • 便秘
食物繊維や水分の摂取が相対的に減ってしまい、かなりの確率で便秘に陥りやすくなります。便秘から他の疾病につながることも見逃せません。

  • 肌荒れ
各種ビタミン・ミネラルや脂質・たんぱく質が少なくなることで肌荒れが起こりやすくなります。慢性的な肌荒れは、肌のケアだけでは修復が難しくなることも。

  • 新陳代謝が悪くなる
たんぱく質やビタミンB群、ビタミンCなどが不足すると、さまざまな細胞のターンオーバーが乱れ、古い細胞が新しい細胞へ置き換わりにくくなってしまいます。

その他、鉄分やカリウムなどの特定の栄養素が不足することで、貧血や女性では生理不順、むくみなども起こりやすくなります。

ダイエット中は、これらの問題を起こさないように必要な栄養素を十分に摂りながら、エネルギーの収支を意識していく必要があるのです。

玄米食にするメリット


玄米ごはん茶碗一杯(150g)は、228kcal、糖質51.3g、同量の白米は234kcl、糖質53.4gですので、やや玄米の方が低いですが、比べてみてもとりたてて低カロリー・低糖質というわけではありません。では、なぜ玄米がダイエットにおすすめなのでしょうか。

玄米が白米よりもダイエットに向いているといわれている点はたくさんあります。

まず、玄米は、糖質の代謝に欠かせないビタミンB1を含んでいるため、白米に比べると糖質がエネルギーに変換されやすくなるという点。

また、食物繊維が豊富で便秘対策や血糖値の急上昇を防ぐという点でも、ダイエットに最適です。

玄米の利点はまだまだありますよ。

鉄分やマグネシウムなどのミネラルも豊富で、ダイエット期に不足しがちな栄養素を補えるというパワーを秘めているのです。

このように栄養価が高い玄米でも、もちろん弱点もあります。

それは、ビタミンA、D、K、B12、Cといったビタミンがあまり含まれていない点です。

そのため、栄養バランスを整えるためには、玄米ごはんだけではなく、緑黄色野菜やきのこ類、動物性たんぱく質などの食品も合わせて摂るように心がけましょう。

そして、白米に比べて消化が良くないので、吸水や炊飯方法を工夫する必要があります。


玄米ダイエット失敗の原因とは?


玄米ダイエットは、とても高い効果が見られたという人がいる一方で、うまくいかない、失敗した、といった声が聞かれることもあります。

理由としてはいくつか考えられます。

  • よく噛まずに食べている
胃腸に負担がかかり、うまく消化吸収ができず、便秘に陥ることで、体重がかえって増加することがあります。

玄米の長所は、よく噛んで食べることで、満腹中枢が刺激されて食べる量が少なくなることが挙げられます。

  • 継続できていない
玄米には特有の食感や風味があるため、食べにくさを感じることから、効果が出る前にやめてしまうというケースがあります。また、炊く前にしっかりと吸水させるなどの工程をしていないとおいしく炊けないということも。

まずは炊き方を調整する、白ごはんに少しだけ混ぜてみる、カレーなど味の強いものをかけるなど、慣れるまでは食べ方を工夫してみるのもおすすめですよ。

それでも難しいときは、より食べやすい発芽玄米を取り入れてみるのはいかがでしょうか。

発芽玄米とは、文字通り、玄米を0.5mm~1mmほど発芽させたもの。発芽することでやわらかく食べやすくなっています。栄養価もさらにアップしているという特徴があります。

▼発芽玄米の作り方はこちら
おうちで簡単にできる!栄養満点の発芽玄米の作り方をくわしく解説
https://smartagri-jp.com/food/510

  • 食事のバランスが悪い
いくら玄米が良いといっても、玄米だけで栄養バランスは整いません。バランスを欠いた食事を続けていると、太ったり肌が荒れたり便秘になったりむくんだり……。玄米だけでは足りない栄養素はおかずで補うようにしましょう。

  • 食べ過ぎている
玄米食だからと安心して食べ過ぎていたり、スイーツなどをたくさん食べていたり、カロリーを摂りすぎたりしていてはダイエットも失敗してしまうでしょう。

玄米の量は適正? 食事量は? バランスは? 食事のタイミングは? ストレスはかかっていないか? など、必要以上に食べてしまう原因を探る必要があります。

そして、玄米自体が体質に合っていない可能性もあります。

玄米を食べた後に胃腸に不快感がある場合は、

  • 玄米の量を減らす
  • しっかりと水に浸水させてから炊くようにする
  • よく噛んで食べる
  • おかゆにして食べる
  • しばらく玄米をお休みする
  • 発芽玄米を取り入れてみる

などの対応が有効です。

このように、玄米ダイエットには少しのコツが必要です。体調の変化にも注目して、無理せず玄米を取り入れるようにしましょう。

文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/mext_01110.html

大槻万須美
管理栄養士・フードスタイリスト。楽しく食べて健康に。食の大切さを伝えるため、離乳食講座などの料理教室、バレエダンサーやアスリートのパーソナル栄養サポート、レシピ・コラムの提供など幅広く活動。子どもの頃の毎年の米作り経験から、身近な食体験の重要性についても実感し、おとなと子どもの食育サポートにも力を注いでいる。

■玄米ごはん初心者には「加工玄米」がおすすめ!


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【コラム】今日から始める玄米生活
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  1. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  2. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
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    石坂晃
    1970年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、福岡県の農業職公務員として野菜に関する普及指導活動や果樹に関する品種開発に従事する一方、韓国語を独学で習得(韓国語能力試験6級)。退職後、2024年3月に玄海農財通商合同会社を設立し代表に就任、日本進出を志向する韓国企業・団体のコンサルティングや韓国農業資材の輸入販売を行っている。会社HP:https://genkai-nozai.com/home/個人のブログ:https://sinkankokunogyo.blog/
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    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
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    堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
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