就農で理想の子育てを実現したい! 家族に打ち明けた思い【さわちんの「リアルタイム新規就農日記」第2回】

「SMART AGRI」をご覧のみなさん、こんにちは。

さわちんと申します。

現在37歳で、妻と小学生の子ども2人の4人家族です。

第2回「リアルタイム新規就農日記」ですが、前回、長年勤めていたIT企業から転職を決意するところまでをご紹介しました。


両親のゆず農園を継ぐことに猛反対を受ける中で、両親が口にした「農業なんていう仕事に就いてはいけない」という言葉に違和感を覚えた私は、リアルな農業界を知るために農業の人材サービスを行う会社への転職を決意します。


初めての転職の相談

いざ、転職のための活動をしようと考えた矢先、これまで妻に転職の決意を話していなかったことに気がつきました。結婚して10年以上一緒にいるから、なんとなくわかってくれるだろう、という根拠のない自信があったということもあります。

ある日、子ども達を寝かしつけた後、意を決して話をしました。

私「実は、農業の人材サービスの会社へ転職しようと思ってる」

妻「え? そうなの? 食べていけるの? 」

私「うん、今より年収は減るけど、大丈夫」

妻「じゃあ、どうぞ。頑張って」

改めて、「この人いい人だなぁ」と感じたのを覚えています。いきなり切り出した話にも関わらず、妻は転職することを応援してくれました。

これで前に進むだけになった私は、農業の人材サービス会社へ無事入社できることになりました。


出会ったたくさんの農業経営者たちと、就農の決意

新しい会社に入社した私は、これまでのITエンジニア職から営業職へと変わり、慣れない業務が多かったですが、がむしゃらに働きました。決して優秀とはいえなかったですし、転職する年齢としては高めだったにも関わらず、採用、指導をしてくれた社長には今でも感謝しています。

営業活動をしていく中で、従業員数人から数百人までさまざまな規模の農業法人があり、その経営者や人事担当者の方にたくさんお話を聞くことができました。主な話は人材についてですが、最近の景気や、おすすめの作物、すったもんだした話など……。「俺の人生と農業について」みたいな話を2時間くらい聞かされたこともありました(笑)。

なかでも印象深かったのは、ある農家さんの、出荷直前のイチゴが台風による被害ですべてダメになったという話を聞いたときでした。涙ぐみながらの「これからどうしよう」という声に、思わず私も涙ぐんでしまいました。改めて農業の厳しさを知った瞬間でもありました。

たくさんの農家さんと直接話をしましたが、つらく厳しい現実がある中で、皆さんとても前向きに「農業は面白い!! 」と豪語する方たちばかりでした。農業も、やり方次第でしっかり稼いでいけるということを目の当たりにした私は、自身がモデルとなって、いかに素晴らしい仕事であるかを伝えていきたいと考えるようになりました。

「自分自身が就農するんだ! 」と、改めて決意したのです。


2度目の転職の相談

さっそく、新規就農という2度目の転職について、思い切って妻に打ち明けてみることにしました。

前回の転職の際は、すんなりと理解してくれ、しかも応援までしてくれた妻。きっと驚くだろうと予想していましたが、今回の相談も同意してくれて、一緒に頑張ろうと言ってくれるはず。そう考えていました。

この時、私は気づいていなかったのです。過去を繰り返すことになろうとは……。

イラスト:ヤマハチ
私「実は、農業をやろうと考えているんだけど……」

妻「ダメ」

私「(心の声)あれ!? おもてたんと違う! 」

妻「絶対ダメ。子どもも小さいし食べていけないよ」

私「……。」

まさに両親に反対されたときのように、妻も就農することには大反対でした。

さすがに「農業なんて仕事……」、という言葉はありませんでしたが、食べていけなくなる職業だという固定観念を持っているようでした。

きっとほとんどの人が、同じ考えを持っているんだろうと痛感し、それを払拭したい! という思いから、私の就農への決意はますます強くなります。

ただ、このまま話を続けても平行線になるばかりだろうと予想した私は、何か糸口はないかと考え始めました。


理想の子育てをするための仕事、「農業」

当時、夫婦で抱えていた悩みとして、「子育て」がありました。

都会での暮らしは便利な点もたくさんありましたが、賃貸マンションに住んでいたこともあり、どうしても狭い空間での子育てになりがちだったのです。

ある週末、家族で自然公園に行った時のこと、思いっきり身体を動かしてはしゃぐ子どもたちを見て、「自然がいっぱいなところで毎日暮らせるといいね」と妻が言っていたことを思い出しました。

そこで私は、農業を始める場所にいわゆる“田舎”を選ぶことで、大自然の中で子育てするという念願を叶えることができるのでは、と考えました。しかし移住を伴うとなると、そう簡単に進めることはできません。慎重に情報を集める必要があります。

幸いにも、私の故郷である徳島県が主催する移住セミナーが、近々東京で開催されるという情報を得ました。さらに、主催者に「就農についての情報もありますか? 」とメールしたところ、「いろいろありますよ! 」との回答が。

これは何かの縁だ! と感じた超ポジティブな私は、就農を反対されてからしばらくして、今度は妻に「思い切って移住してみない? 」と、相談してみました。

最初は「? 」といった反応でしたが、子育てへの悩み、移住セミナーのことを説明すると、話を聞いてみるくらいなら……と少し乗り気になってくれました。

チャンスはここしかない! という秘めたる思いを胸に(私だけですが)、当日セミナーに夫婦で足を運びました。そこでいろいろと話を聞いていく中で、徳島県阿南市が力を入れている、移住×就農の取り組みを知ることになります。


【農家コラム】さわちんの「リアルタイム新規就農日記」
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WRITER LIST

  1. 堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
  2. 大槻万須美
    管理栄養士・フードスタイリスト。楽しく食べて健康に。食の大切さを伝えるため、料理教室、バレエダンサーやアスリートのパーソナル栄養サポート、レシピ・コラムの提供など幅広く活動。子どもの頃の毎年の米作り経験から、身近な食体験の重要性についても実感し、おとなと子どもの食育サポートにも力を注いでいる。
  3. 田牧一郎
    たまきいちろう。68歳。日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  4. 田中克樹
    たなかかつき。32年間の農業出版社勤務を経て、2020年末、故郷の八ヶ岳南麓に帰郷。仲間と共に農業・福祉系NPOを立ち上げ、遊休農地・耕作放棄地を再生し、心身の癒しや健康づくりにつながる有機無農薬の体験型農園づくりに取り組む。NPOでは田んぼ除草にホバークラフトを活用したスマート技術を開発中。農と風土(フード)を愛する人たち向けのブックカフェ・居酒屋を開くのが夢。
  5. 山田正美
    大阪工業大学大学院修了。福井県職員として、農業試験場研究員、専門技術員、農業技術経営課長、農林水産部技幹を経て退職。現在、日本生産者GAP協会常務理事、日本農業サポート研究所主席コンサルタント。
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