理想の「スマートセンサー」はどれ? いろいろ調べてみた【さわちんの「リアルタイム新規就農日記」第6回】

「SMART AGRI」をご覧のみなさん、こんにちは。

コケチンファーム代表のさわちんです!

前回は、さわちんの推しアプリ「アグリノート」についてお伝えしました。コケチンファームでは、さわちんと妻の農業的毎日を、すべてアグリノートに記録しています。毎度記録するという手間が発生しますが、そのデータは、振り返りや分析に使えたりと、役立ちどころ満載です。ぜひ、皆さんも作業記録をつけてみてくださいね。

アグリノートを使っていて改めて思うことは、ヒトは忘れっぽい生き物だということ。作業の最中は、忘れるわけない! と思うのですが、しばらくすると記憶からきれいさっぱりなくなっています。横を向いたらもう忘れるといわれるコケチ達に似てしまったのでしょうか?(笑)

さて今回は、以前からの野望であった圃場への「スマートセンサー」導入が、現実味を帯びてきましたので、販売されているスマートセンサーの一部についてさわちん目線の評価をお伝えしていきます。

イラスト:ヤマハチ

母校、かんきつアカデミーのカリキュラムにもスマート農業


そういえば先日、さわちんが1年間通ったかんきつアカデミーに、遊びに行ってきました。

徳島農業大学校・勝浦校
実は先生方もこの記事を読んでくれていて、「今度うちの宣伝してね!」と頼まれましたので(笑)、興味のある方はぜひのぞいてみてください!

【徳島かんきつアカデミー 徳島農業大学校・勝浦校】

久しぶりに先生と圃場を歩きながら、2021年度の新しいカリキュラムの一部について教えてもらいました。ビニールハウスを用いたスダチの栽培や、かんきつアカデミーなのに熱帯果樹の栽培など、面白そうな内容が盛りだくさん。

さらには、スマートセンサーを利用した栽培の取り組みなど、かんきつ栽培の進化をしっかりと学べそうな環境になっていました。もう一度入学したいなぁと思いつつもそうはいかないので……今後も遊びに行ってしっかり情報をキャッチしていく予定です。


新米農家が考えるスマートセンサーの機能・設置条件


本題に戻りまして、さわちんがスマートセンサーを導入する予定の圃場は、チンゲンサイ用のビニールハウスです。家からは500mくらい離れていますし、こんな感じのところなので……


スマートセンサーのような電子機器の設置には、ある程度の制約が出てきます。

また、これまでの栽培において、「こんな情報が欲しいなぁ」という希望もあります。そういった前提をどれだけ満たしてくれるかという観点で、スマートセンサーの機能を調査してみました。

【機能条件1】 ブラウザでリアルタイムにデータを確認でき、取得データが蓄積される
これはもはや当たり前ですが、スマートフォン・PC問わずリアルタイムで圃場のデータが閲覧できるようにしたいです。また、取得データがしっかり蓄積され、分析に使用できるのもマストですね。

【機能条件2】 圃場の気温、湿度がわかる
施設栽培の基本中の基本ですね。温度や湿度によって作業のタイミングやチンゲンサイの生育日数が変わるので、経営に直結する大事な情報だと認識しています。

【機能条件3】 圃場の土壌水分量とpHがわかる
栽培していて一番難しいのが、ずばり「水やり」。時間、季節、温度、湿度などのさまざまな条件で、水やりの量が変わってくるので、何とか基準を作りたいと思っています。また、圃場の土壌分析の結果、pHがかなり酸性に傾いてしまっていたことがわかったので、ここもしっかり把握していきたいです。

一方で、ハウスとは言え屋外となる施設栽培では、設置のための環境も課題になります。

【設置条件1】 AC電源が必要ないこと
さわちんの圃場では、今のところ電力を利用していません。つまり、“コンセントがなくても”設置できる必要があります。

【設置条件2】 インターネット通信環境
コンセントが無いので、Wi-Fi用ルータなどが設置できません。クラウドへデータをアップロードする際は、センサー自身の内蔵SIMが必要です。

【設置条件3】 価格
新米農家のさわちんには、非常に重要な要素です。初期費用と年間使用料を含めて30万円程度を目安にしたいと思います。


さわちんの理想に近いスマートセンサーはどれだ! 


これらの条件をもとに、いくつかのスマートセンサー製品を調べてみました!

みどりクラウド



株式会社セラクが展開するスマートセンサーです。

各種センサーを接続した「みどりボックス」を圃場に設置してデータを収集し、クラウドへ送信。それらのデータを「みどりモニタ」アプリによって閲覧することで、“圃場の見える化”を実現するソリューションです。

みどりモニタ|みどりクラウド
豊富なセンサーが準備されていて、利用者が必要なデータをチョイスできるようです。

こちらが機能一覧。今後も機能は拡張されていくのだそう!
さらにみどりボックスの通信方式も、Wi-Fi、4Gと用意されているのもいいですね。ただ、みどりボックスの設置には、AC電源(コンセント)が必須の模様。

初期費用は構成によってさまざまと思いますが、施設栽培への導入参考価格は35万円~とのこと。4Gモデルであれば、クラウドサービス利用料として2500円程度(2021年8月現在)の月額使用料が発生します。

実はこの製品、さわちんが会社勤めをしていたころ、たまたま行った幕張メッセのITイベントで見かけたことがあります。「最近の農業って、かっこいいんだなぁ」と感じたことを覚えています。当時は農家になるなんて思ってもいなかったですが(笑)。


web-Watcher



株式会社NPシステム開発が展開するスマートセンサーです。同じ四国の愛媛県に本社があるので、なぜか親近感が(笑)。

新規事業 - 製品案内 - 株式会社 NPシステム開発
各種センサーを接続する「i-Node」と、データを集約してクラウドサーバに中継する「i-Gateway」で構成されます。i-Nodeとi-Gatewayは、LoRA通信を行うため、通信費用が無料なうえに、ある程度距離が離れたところにも設置が可能です。

新規事業 - 製品案内 - 株式会社 NPシステム開発
i-Nodeは内蔵バッテリー駆動ですが、i-GatewayはACアダプタが必須となります。i-Gatewayの通信方式は、有線LAN、Wi-Fi、4Gともに準備されています。面白いのは、i-Gatewayが外部機器と連携するインターフェースを実装しているところ。作りこむのは苦労するように見受けられますが、簡単な操作ならスマホから遠隔でできてしまうかもしれません。

構成によって変わると思いますが、カタログを参考にすると、初期費用にはおよそ30万円程度、月額費用は1万円程度になりそうです。


AGRI PALETTE



株式会社Momoが展開するスマートセンサーです。実は、これはSMART AGRIの記事がきっかけで見つけました。

各種センサーを接続したゲートウェイがクラウドサーバーへデータを送信します。すごいシンプルだなぁという印象を受けました。

AGRI PALETTE
特筆すべき点としては、フルセットの初期費用が16万5000円で、月額利用料が1アカウントで1980円というところ。かなりリーズナブルな気がします。ゲートウェイは単一電池4本で動作するという驚きな仕様ですが、2021年8月現在の通信方式はWi-Fiのみ。そのため、別でWi-Fiルータを準備する必要があります。

AGRI PALETTE
また、他のソリューションにはついている「Webカメラ」がないため、圃場の様子を遠隔から見ることはできないようです。しかし、ベンチャー企業特有の開発スピードが早そうな印象を受けたので、今後にとても期待できますね。


3製品をまとめてみると……


今回は、3社のスマートセンサーを調べてみました。結果を簡単な表にまとめてみると以下のようになりますね。


各製品ともに、「圃場の見える化」については、ばっちり網羅されているように思いました。なので、設置条件と価格の面で、さわちんの場合は今のところ、「AGRI PALETTE」が良いかなぁと考えています。導入が決まりましたら、またここでしっかり報告させていただきます!


さて次回は、コケチンファームのECサイト計画についてお伝えしようと思います。

もはや農家が自身のサイトで野菜を売るのは当たり前! ところが、周りに聞いてもそんな話はさっぱりでてきません。なぜ? のあたりを調査しつつ、仕組みや商品の価格について、コケチンファームはこうする! という指針をお伝えできればと思います。乞うご期待!


みどりモニタ|みどりクラウド
https://info.midori-cloud.net/production/monitor/
新規事業 - 製品案内 - 株式会社 NPシステム開発
https://www.npsystem.co.jp/products/new/#cc-m-12929809787
AGRIPALETTE
https://momo-ltd.com/agripalette/

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WRITER LIST

  1. 田牧一郎
    たまきいちろう。68歳。日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  2. 田中克樹
    たなかかつき。32年間の農業出版社勤務を経て、2020年末、故郷の八ヶ岳南麓に帰郷。仲間と共に農業・福祉系NPOを立ち上げ、遊休農地・耕作放棄地を再生し、心身の癒しや健康づくりにつながる有機無農薬の体験型農園づくりに取り組む。NPOでは田んぼ除草にホバークラフトを活用したスマート技術を開発中。農と風土(フード)を愛する人たち向けのブックカフェ・居酒屋を開くのが夢。
  3. 山田正美
    大阪工業大学大学院修了。福井県職員として、農業試験場研究員、専門技術員、農業技術経営課長、農林水産部技幹を経て退職。現在、日本生産者GAP協会常務理事、日本農業サポート研究所主席コンサルタント。
  4. 福田浩一
    ふくだこういち。東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。現在は主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。http://www.ijas.co.jp/
  5. 中村圭佑
    なかむらけいすけ。明治大学農学部卒業後、日本農薬株式会社に約7年勤務。その後、大手経営コンサルティング会社を経て、FOOD BOX株式会社を2019年7月に起業。Facebook:https://www.facebook.com/foodboxjp/、Instagram:https://www.instagram.com/foodbox_jp/
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