移住して半年。新型コロナ禍を移住先で過ごした家族の感想は? 【農家見習い・さわちんの「リアルタイム新規就農日記」第9回】

「SMART AGRI」をご覧のみなさん、こんにちは。

さわちんと申します。現在37歳で、妻と小学生の子ども2人の4人家族です。

前回は、さわちんの通う「かんきつアカデミー」におけるスマート農業の取り組みについて、ご紹介しました。

果樹部門でのスマート農業の導入は、他と比べると遅れているようです。だからこそ、何かを見つけるためにトライすることが大事だと思い、日々データとにらめっこしています。

今のところ、あまり有効なデータは得られておりませんが(笑)、まぁ気長に頑張っていきます。

さて今回は、移住して半年が経過したさわちん一家へのアンケートをとってみました。


移住して半年が経過……実際のところ、生活に満足している?



第4回でもお伝えしましたが、あれから3カ月以上が経過し、そろそろ都会が恋しくなることはないのだろうか……という心配を胸に、恐る恐る聞いてみました。

●夏の思い出について


子ども「川遊びすっごい楽しかった! みんなで行ったザリガニ釣りも楽しかった! 」

やっぱり田舎の特権といえば、きれいな川が家からすぐのところにあること。冷たい川で泳げば、夏の暑さも吹き飛びます。

それに少しずつですが小学校の友達と遊ぶようになり、みんなで集まって近所の用水路でザリガニやカメを捕まえて遊んでいたようです。親からすると、昔遊びが目いっぱいできることは、とてもいいことだと思いました。

そして、夜は窓を開けると涼しい風が入ってきて、暑かった今年の夏もほとんどクーラーなし、扇風機だけで過ごせました。虫たちの綺麗な鳴き声も聞こえてきて、寝苦しいと感じる夜が少なかったように思います。

●続・食べ物について


妻・子ども「スモモでしょ、スイカでしょ、イチジクでしょ、ポーポー(アケビガキ)でしょ、カキでしょ! フルーツいっぱいで美味しかったなぁ。」

相変わらず、いろんな季節のフルーツをご近所さんが届けてくれます。そのどれも美味しいこと!

いつも頂いてばかりでは恐縮なので、お借りした畑で採れた野菜をおすそ分けをすることもあります。今まで家庭菜園の経験は一切ありませんでしたが、ナスやオクラ、カボチャなどは無農薬で育てることができました。子どもたちもたくさん食べてくれます。やっぱり農業って素晴らしいな、と改めて実感します。

そして、家計の節約とお返しの品を増やすことを目的として、鶏を飼い始めました! ヒヨコから育てているので、可愛くて仕方ありません。

餌も、食べられなくなった野菜や頂いたくず米、コイン精米機の無料の米ぬかなどを使っているので、ほぼ0円。早く卵を産んでくれないか、心待ちにしています。

●普段の生活について


妻「狭い道の車の運転は慣れたけど、やっぱり買い物に行くのが大変。近くにスーパーが欲しいよ~!! 」

前回もお伝えした内容ですが、普段の買い物は全て車移動のため、大変なようです。ある程度まとめ買いをするようにしていますが、日用雑貨のストックが無くなったり、子どもの文房具が無くなったりといったタイミングだけはなかなかつかめません。

そうなると、そのたびに車で往復30分の場所にあるスーパーに行くことになります。トータルで1時間かかることに、妻はどうしても不便を感じているようです。

通販の利用を提案しましたが、調べるとやっぱり割高になるとのこと。なかなかの倹約家のようです。

実は、先日近くにコンビニ(ヤマザキショップ)がオープンし、「やった!! 」と思っていたのですが、夜7時に閉店になりますし、品揃えもあんまりなうえ、値段もお手頃とはいえないので行けずじまいです……。

そんな妻も、少し運転に余裕ができたことで、見渡す景色から季節の移り変わりを感じたり、細い道での対向を上手にやり過ごしたりと、「気分がアガるドライブ」を覚えたようです。移住前はあんなに嫌がっていた運転を、最近はすすんでするようになりました。


車でよく通る道。秋に向けて、少しずつ山々が色づき始めてます。
買い物という観点ではマイナスのようですが、リラックスする手段が増えたという点では、ご満悦の様子です。物は言いようですね(笑)

子どもたちの小学校も、休校が明けたら、ほとんどいつも通り。というのも学年の人数が少ないので、教室でも机と机の距離を保つことができ、3密になりにくい環境での勉強が可能なのだとか。

しかし、運動会や音楽発表会、参観日などの親が参加できる行事は軒並み中止になってしまいました。家族でとても楽しみにしていたので残念です。

新型コロナについて


新型コロナには、皆さん本当に心を痛めていることと思います。早くいつも通りの生活が戻ってくることを、心待ちにしています。

たくさん悲しい思いをした方がいる中で、この話題について記事を書くことは躊躇われるのですが、農家さん目線から見た新型コロナについて、お伝えしようと思います。

さわちんの周りの農家さんは、正直なところ、生活にほとんど変化はないそうです。畑では3密になることはありませんし、食べ物はほとんど買い物に行くことなく揃います。近所に買い物に行くときや、病院に行くときは少し気がかりになることもありますが、ほとんどはいつも通りです。

また、田舎なので普段の生活では人とすれ違うことも少ないし、誰がいつどこに行ったという情報も筒抜け(笑)。この田舎ならではのプライバシーの無さが、逆にコロナ禍では役立っているようです。

誰も予測できなかった新型コロナのような事態が起こっても、田舎の農家って強いんだなぁと感心しました。

しかし、大雨や台風、今年の夏のような異常な暑さでは、施設や作物が被害にあったりと、大変な苦労をしています。何事も、しっかり目の前で起こることに目を向け、対処することが大切なんですね。

ちなみにさわちん一家も、新型コロナ禍での移住生活スタートとなりました。最初はマスクをつけないご近所さんに驚いていましたが、不特定多数の人とすれ違うことはないと気づき、すぐに真似をすることにしました。思い返せば、買い物に出かけるとき以外は、本当に新型コロナ禍以前の普段通りの生活ができていましたね。

そういったこともあり、友達に移住の報告をするたびに「良いタイミングで引っ越しできたね。」と言われます。


全体を通して


妻・子ども「やっぱり引っ越してきてよかったね! 」

ひとまず、ホッとできる一言をもらえました。特にコロナ禍でものびのびと普段の生活が送れていることがプラスに働いたようです。

これからも家族みんなで笑顔が増えるように、楽しく過ごしていきたいです。

さて次回は記念すべき10回目なので、家族の振り返りではなく、自分自身の振り返りをしたいと思います。移住する前に考えていたことと、今。一度評価してみますね。
【農家コラム】さわちんの「リアルタイム新規就農日記」
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. さとうまちこ
    さとうまちこ
    宮城県の南の方で小さな兼業農家をしています。りんご農家からお米と野菜を作る農家へ嫁いで30余年。これまで「お手伝い」気分での農業を義母の病気を機に有機農業に挑戦すべく一念発起!調理職に長く携わってきた経験と知識、薬膳アドバイザー・食育インストラクターの資格を活かして安心安全な食材を家族へ、そして消費者様に届けられるよう日々奮闘中です。
  3. 北島芙有子
    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
  4. 川島礼二郎
    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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