新しい販路・「JA」に出荷しました!【さわちんの「リアルタイム新規就農日記」第3回】

「SMART AGRI」をご覧のみなさん、こんにちは。コケチンファーム代表のさわちんです!

前回は、コケチンファームのある一日の売り上げを赤裸々にお伝えしました。読んでいただいた皆さんはきっと、「すくなっ! 」と思ったことでしょう。実際、ずっとこのくらいの収益だとすると、生活が苦しくなっていくものと思います。出荷量を増やすのはもちろんのこと、作業効率を向上や新しい販路の開拓など、何らかの改善策を講じる必要があります。それを考え実行していくことが楽しみであり、苦しみでもあります (笑)

なにせ、まだ始まったばかり、がむしゃらに進んでいくのみです!

さて、今回は新しい販路として、地元の農協へ出荷できるようになりましたので、その特徴と、直売所との違いについてお伝えしたいと思います。



新しい出荷先・「JA」

みなさん、「農協」って聞いたことはありますか。農協とは「農業協同組合」の略で、HPによると「相互扶助の精神のもとに農家の営農と生活を守り高め、よりよい社会を築くことを目的に組織された協同組合」だそうです。要は農家さんの味方ということですね。

JA(ジェイエー)という名前は、「農業協同組合」の英語表記の頭文字をとってつけられたニックネームとのこと。

農協は、農家さんの野菜の出荷先であり、肥料や農薬、農機具などの販売も行っています。さわちんの周りの農家さんも、農業に関わることは、だいたい農協で済ませているようです。

さて、そんな農協に出荷することになったのは、近所の先輩農家さんに勧められたことがきっかけ。その方もさわちんと同じく異業種から移住就農を果たしていて、頼れるアニキ的な存在です。直売所の出荷のみで売り上げ目標を達成しようと考えていたさわちんに、アニキから「農協出荷の方が効率がいいと思うよ」とのアドバイスをいただいました。確かにアニキの作業風景を見学させてもらうと、無駄のない流れるような作業で、効率よく出荷用段ボールが積み上げられていきます。

この技術を会得したい! という思いで、さわちんも農協出荷を始めることにしました。正直、出荷先は自由に選択できるので、直売所やその他の販路を作って消費者と繋がることを大事にした方が……とも考えましたが、これも大事な経験。実際農協出荷を始めてみると、これまでの直売所の出荷とは大違い。すべてにおいて、基準が決まっているのです。

まずは、出荷するチンゲンサイの重さ。出荷が許されるチンゲンサイはS、M、L、2Lサイズのみとなっており、それ以外は規格外品として受け付けてくれません(一部例外はあるようですが……)。それぞれのサイズの重さの範囲は、「チンゲンサイ部会」の会議にて決まるそうです。


次に、チンゲンサイを詰める袋。あらかじめ農協で用意した袋を必ず使用することになります。


最後は段ボール箱。こちらもあらかじめ農協で用意した段ボール箱を使用しなくてはいけません。サイズごとに詰める袋数も決められていて、最後にフタをするテープまで規格が決まっています。


何より特筆すべきは、その品質。「秀品」しか受け付けておらず、葉っぱが少し虫に食べられているようなチンゲンサイは出荷してはいけません。もし、故意に品質の悪いチンゲンサイを出荷すると、出荷停止の処分が下されることもあるそうです。

例えば、こちらのチンゲンサイ。


ぱっと見て、きれいなチンゲンサイと思いませんか? よくぞこれだけきれいに育ってくれた! と思いきや……


よ~く見ると、葉っぱにおそらく虫に食害されたと思わしき傷が! 危うく見落とすところでした。残念。このような少しの傷であっても秀品とはならず、出荷ができないんです。

では、なぜ農家さんはこのような厳しい条件の農協に出荷するのか。それは、「全量買い取り」という物凄いメリットがあるからです。

つまり、基準をクリアしていれば、どんなに大量に出荷しても、絶対に買い取ってくれる。この安心感があるから農協に出荷するし、何より頑張りがすべて収益として返ってきます。

ただし、忘れてはいけないデメリットがあります。それは、農協が買い取る金額は、市場に左右されるため、農家さん側では決めることができないということ。高く買い取ってもらえる日もあれば、とても安い金額になってしまう日もあります。

直売所出荷と、農協出荷の特徴をまとめると、以下のようになります。


ある農家さんは、自分で価格を決められないのは納得がいかないということで、メインの出荷先を直売所にしていますし、またある農家さんは適正な価格をつけるのが難しいという理由で、出荷先を農協にしています。

考え方によって、出荷先を変えることができるのは、農家からするとメリットといえるでしょう。他にもネット通販など、出荷先の多様化は、農業をやるうえで大きな助けになります。


ちょっと待って、出荷できないチンゲンサイたちは……

そういえば、気になることが。今回の収穫では、たくさん虫にやられてしまい、たくさん廃棄チンゲンサイを出してしまいました。


全体としては、これの3倍くらい廃棄することになってしまいました。とほほ……。1株1株の被害程度を見てみると、


虫に食害されてしまい、少し大きめの穴があいています。それでもその葉っぱ以外はきれいなもので、もちろん味が落ちたりはしていません。それでも出荷できないので、自家消費か廃棄することになります。

農家になって間もないさわちんからすると、本当に「もったいない」と感じます。なんとかならないものか。先輩農家さんに相談しても、ロスが出るのは当たり前だから、次々と作りなさいとのこと。ただ、SDGsや環境への影響などが注目されている時代でもあります。

なので、この「廃棄ロス」や「食品ロス」の問題について、「もったいない」という気持ちを忘れないうちに、廃棄ロス割合の分析と、生かせる方法を自分なりに考えてみたいと思います!

【農家コラム】さわちんの「リアルタイム新規就農日記」
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WRITER LIST

  1. 田牧一郎
    たまきいちろう。68歳。日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  2. 田中克樹
    田中克樹(たなかかつき)。32年間の農業出版社勤務を経て、2020年末、故郷の八ヶ岳南麓に帰郷。仲間と共に農業・福祉系NPOを立ち上げ、遊休農地・耕作放棄地を再生し、心身の癒しや健康づくりにつながる有機無農薬の体験型農園づくりに取り組む。NPOでは田んぼ除草にホバークラフトを活用したスマート技術を開発中。農と風土(フード)を愛する人たち向けのブックカフェ・居酒屋を開くのが夢。
  3. 山田正美
    大阪工業大学大学院修了。福井県職員として、農業試験場研究員、専門技術員、農業技術経営課長、農林水産部技幹を経て退職。現在、日本生産者GAP協会常務理事、日本農業サポート研究所主席コンサルタント。
  4. 福田浩一
    ふくだこういち。東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。現在は主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。http://www.ijas.co.jp/
  5. 中村圭佑
    なかむらけいすけ。明治大学農学部卒業後、日本農薬株式会社に約7年勤務。その後、大手経営コンサルティング会社を経て、FOOD BOX株式会社を2019年7月に起業。Facebook:https://www.facebook.com/foodboxjp/、Instagram:https://www.instagram.com/foodbox_jp/
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