チンゲンサイ農家1年生の収支をご報告! 【さわちんの「リアルタイム新規就農日記」第12回】

こんにちは。コケチンファーム代表のさわちんです!

前回は、真冬のチンゲンサイ栽培の工夫と題して、いろいろな寒さ対策をお伝えしました。

ビニールハウスとはいえ、真冬の寒さの前では室内が氷点下になってしまうこともしばしば。何の工夫もせずにいると、寒さによりチンゲンサイの品質が低下してしまい、最悪の場合出荷できなくなってしまいます。そうならないように、農家さんは独自でさまざまな工夫を施して、品質をキープしているのです。

農園によっては、暖房機を導入して夜間の寒さを和らげているそう。そこまで経費をかけられないなぁと思いつつ、その農園のチンゲンサイはぬくぬくで幸せだろうなぁ……と妄想をするさわちんなのでした。

さて今回は、2021年の確定申告が完了したさわちんが、チンゲンサイ農家1年生の収支をご報告したいと思います。

1年間、うれしいこと悲しいこといろいろありましたが(悲しい事の方が多かった?? )、その結果はいかに!



2021年収支結果 ~収入の部~

まずは収入の部から。1年目の新米農家の収入はいかほどだったのでしょうか?

下の図は、会計ソフトから抜き出した収入のグラフです。ちなみに雑収入は「就農補助金」とほぼ同意義であるとお考え下さいね。


より具体的な数値を、記載してみます。


売上合計:1,240,597円 (全体の34%)
雑収入合計:2,417,300円 (全体の66%)

総計:3,657,897円
という結果になりました。ほとんど補助金じゃないか! というお叱りが聞こえてきそうです(汗)。

収入についての考察


まず、売上については、これまでの記事通り、7月までは栽培に悪戦苦闘し、あまり量を出荷することができませんでした。そして就農1年生のくせに長い夏休みを取ったため、8、9、10月はほぼ無収入! でも、11月と12月は作りやすい気候も相まって、ある程度の売り上げを作ることができています。2022年はこの調子で、1年を通して頑張ります!!

そして気になる雑収入についてですが、2月の雑収入は、「就職氷河期世代の新規就農促進事業」という就農補助金で、ざっくりいうと年間150万円を最大2年間受け取れるという制度になります。さわちんの場合は、2021年の10月と2022年の2月に75万円ずつ給付されました。

そして、10月の雑収入は、「農業次世代人材投資資金 ~経営開始型~」という就農補助金になります。

これについては、以前の記事でもご紹介しましたが、年間150万円(夫婦の場合225万円)を最大5年間受け取れるかわりに、受給要件がなかなか大変な就農補助金となります。しっかりとした目標を定め、「認定新規就農者」になることが必要です。

幸い、さわちん夫婦はたくさんの方々からサポートいただき、この就農補助金を受給できることになりましたので、年間225万円のうち、半分の112万5000円が10月に給付されました。

最後に11月の雑収入ですが、これは加茂谷地域で移住就農者をさらに呼び込むための取り組みの一つとして、さわちんビニールハウスの設備補修のために交付いただきました。詳細は割愛しますが、ここ加茂谷地域は、新規就農者を全面バックアップしてくれる、とてもありがたい場所なんです!!

こうして振り返ると、農業という仕事は、行政からしっかりとしたサポートを受けられるんだなぁと改めて思いますね。逆にいうと、それだけ農業者の減少が問題になっているということ。ただ、こういった補助金は期限が決められているので、給付が無くなる前にしっかりと自分で収入を作ることができる農家になろうと決心しました。


2021年収支結果 ~経費の部~

それでは、次に経費の部を見ていきましょう。


ちょっと項目が多いので、特に着目したい「諸材料費」「荷造運賃」「肥料費」と、それ以外の項目の合算「その他」に、まとめてしまいますね。


諸材料費 合計:842,088円 (全体の40%)
荷造運賃 合計:198,609円 (全体の10%)
肥料費 合計:136,123円 (全体の7%)
その他 合計:903,325円 (全体の43%)

総計 :2,080,145円
という結果になりました。

経費についての考察


経費の中でトップの項目は、「諸材料費」でした。これは、ビニールハウス用の資材や、マルチなど、農業に利用する消耗品が該当します。細かい所でたくさんの資材を利用するので、これは致し方ないかなぁと思いました。


そして着目したいのが、「荷造運賃」です。これは就農する前にあまり意識しなかった項目なのですが、段ボールや梱包袋など、出荷するために必要な各種資材のことです。

決められた資材で梱包しないと出荷を受け入れてもらえないのですが、120万円の売り上げを作るために、約20万円の出荷用資材が必要なんです。ちょっと高すぎやしないかい? と思いますよね!?

独自の販路を作ると仮定した際、運送費については、考慮すべき点として認識していましたが、梱包資材つまり、「ラッピング」にも費用が掛かるという点が考慮から漏れていました。ECサイトを立ち上げて野菜を売るという計画も、コストが増えるということから、さらなる検討を余儀なくされています。


また、肥料費も年々高騰していて、2021年に2回くらい値上がりがあったような……。2022年はさらに負担が大きくなると予想されます。なかなか厳しいですね。


2021年のさわちんの所得は??

では、収入と経費が出たので、さわちんの2021年の所得を算出してみましょう。

所得=収入-経費=3,657,897円-2,080,145円=1,577,752円

となりました! 率直に思うのは、少ないなぁ……ということ。しかし大切なのは、この数字を今後どう変えていくかですね! もっというと、ここには軽トラックの減価償却費や妻の給料などが入っていませんので、……ここから先の金額は想像にお任せします(笑)。

いかがでしたか。ある新規就農者のリアルな所得をお伝えしてみました。あくまでも、これはさわちんの数字。営農形態が変われば、全然違ってくるものだと思います。皆さんの参考になれば幸いです。

さて次回は、この数字から改善点などを洗い出し、さわちんの2022年の所得の目標を設定したいと思います。売上は伸ばし、コストは抑える、そのポイントをお伝えしますので、こうご期待!

【農家コラム】さわちんの「リアルタイム新規就農日記」
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WRITER LIST

  1. 槇 紗加
    1998年生まれ。日本女子大卒。レモン農家になるため、大学卒業直前に小田原に移住し修行を始める。在学中は、食べチョクなど数社でマーケティングや営業を経験。その経験を活かして、農園のHPを作ったりオンライン販売を強化したりしています。将来は、レモンサワー農園を開きたい。
  2. 田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  3. さわちん
    2児の父。あるきっかけにより農業のイメージを変えたいと考え、16年間のサラリーマン生活にピリオドを打つことを決意。2020年春、家族で田舎に移住し、新規就農を目指す。自身が「移住×就農のモデルケース」となるために、いろんな方面へ向けて奮闘中。
  4. 福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  5. 窪田新之助
    農業ジャーナリスト。福岡県生まれ。日本経済新聞社が主催する農業とテクノロジーをテーマにしたグローバルイベント「AG/SUM(アグサム)」プロジェクトアドバイザー、ロボットビジネスを支援するNPO法人Robizyアドバイザー。著書に『日本発「ロボットAI農業」の凄い未来』『GDP 4%の日本農業は自動車産業を超える』(いずれも講談社)など。