「もったいない」精神を発揮! 廃棄野菜を利用する方法を考えてみた【さわちんの「リアルタイム新規就農日記」第4回】

「SMART AGRI」をご覧のみなさん、こんにちは。

コケチンファーム代表のさわちんです!

前回は、新しい出荷先「JA」についてご紹介しました。今まで経験していた直売所の出荷とは違い、規定がしっかり決まっていて少し窮屈な気もしますが、全量買い取りという大きなメリットを受けられるのはとても魅力的です。

さわちんは1日に20箱程度の出荷がやっとですが、先輩方々はなんと1日に50~70箱も出荷するそう。50箱だとしてもチンゲンサイ約1000株くらいなんだけどなぁ……。まだまだ先は長いようです。

さて、今回は農家の方なら必ず経験するであろう、「廃棄」にフォーカスを当てたいと思います。というのも、まだまだ未熟なさわちんは、1回の作付け(種を撒いてから収穫するまでの一連の流れのこと)ごとにたくさんの廃棄を出してしまうのです……。



廃棄理由の大半は害虫被害

廃棄になる理由はとても簡単。ずばり、「売り物にならないから」。例えば害虫に食べられてしまっていたり、病気にかかってしまって見た目が悪くなってしまったり、株が大きすぎたり小さすぎたりしてもダメ。さわちんの廃棄理由の90%は、害虫による被害です。この前もたくさんの廃棄を出してしまったところです……。


廃棄を出さないようにするには、設備投資を行ったり、栽培技術を高めたりする必要があると思っています。

例えばビニールハウスのビニールが風でこすれて小さな穴が開いてしまうと、そこから害虫は侵入してきます。ぴったり密閉できているのが理想ですが、5aのビニールハウスに1cmの穴が開いているのを見つけられるでしょうか。

また、害虫が侵入してきたとして、しっかり農薬を使ってやっつければ良いのですが、どのタイミングで実施するかは経験が必要です。この点で、さわちんは空振りすることが多いようです(笑)。

そこで、廃棄を出さないようにするのではなく、廃棄を利用する方向に考え方をシフトしようと思いつきました! 前から思っていた「もったいない」精神を発揮しようと思います。


ある新米農家のチンゲンサイ廃棄率は34%

まずは、さわちんの1回の作付け当たりの廃棄率を分析してみましょう。ある作付けでは2800株の苗を定植して、約240kgの収穫量となりました。チンゲンサイの1本当たりの重さを平均で130gと仮定すると、

2800 (株) × 130 (g) = 364,000 (g) = 336 (kg)
240 (kg) / 364 (kg) ≒ 0.66
1 – 0.66 = 0.34 = 34 (%)

廃棄率はなんと「34%」で、1/3は廃棄している計算になります! 計算にアバウトな部分は残っていますが、一つの指標とはなりそうです。こんなに廃棄していたのか……と改めてぞっとしました。

そして、この廃棄のうち70%は、すこし害虫にかじられた程度のものになります。例えば下の写真のようなチンゲンサイ。


内側の葉っぱが少し虫食い状態ですね。それ以外はきれいなもので、もちろん食べられます。

また、葉っぱがビリっとやぶれてしまったようなもの、こちらも廃棄になってしまいます。料理する時、切る手間が省けそうなのに(笑)。


写真を撮りながら、少し悲しくなってきてしまったのですが、気を取り直して今できることを実際にやってみました。


直売所に安く出荷してみる

まずできることは、これかなぁと思いました。私が主に出荷していたスーパーの直売システムでは、品質や価格はすべて、農家の判断になります。実際売り場に足を運んでみると、いろんな野菜で、いわゆるB品が散見されました。やっぱり皆さん、同じ悩みを持っているようですね。

そこで、私もすこ~し虫食いのチンゲンサイをB品として出荷することにしました。値段は……やっぱり正規品とは差をつける必要があると思いますので、写真のように120円と80円にしてみます。



果たして売れるのか、とっても不安です……。次の日売上を確認してみると、


う、売れてる!

いくつか売れ残りはでましたが、ちゃんと売れていました。確かに移住前のさわちん自身も、少し形が悪かったり、虫食いの跡があっても、安くてまぁまぁきれいであれば購入していたことを思い出しました。

農家の立場になると、きれいなものを出荷しなければ……と思い込んでいましたが、こういったニーズもあるということを再認識しました。

正規品と手間は変わらないにも関わらず、売上は3分の2になってしまいますが、今まで0円だったものに値段がつくので、とってもありがたいです。今後もこういった形で食品ロスを抑える取り組みは続けたいと思います。


他の商売で付加価値として利用してもらう

さわちんの友達が、近所でコーヒーショップを経営しています。いつもいろんな話をする仲なのですが、ある日「大量の廃棄がいつも出るんだよ~」という話をしたところ、「何か協力できることはないかい? 」と言ってくれました。

そこで、コーヒーショップに野菜を置いて売ってもらうのでは面白くないので、コーヒーショップでのお買い物1000円以上で、少し見た目は悪いですが、採れたてチンゲンサイをプレゼント! というキャンペーンをやってもらいました。


友達曰く、お客様に出荷できないものであることを説明したところ、「こんなにキレイなのにねぇ」という感想が多かったとのこと。

コーヒーとチンゲンサイはかけ離れすぎているので(笑)、残念ながらあまり売上に貢献できなかったようですが、廃棄する野菜を有効利用してもらえるだけでもうれしいものです。

他にも近所のタクシー会社に、乗車した方にチンゲンサイをプレゼントして顧客満足度を向上させる、という提案をしてみようかなと思っています。乗車率が増えるようだったら、お金をいただければいいかなぁと考えていますが、まだ実行できていません。


廃棄野菜でわらしべ長者?

他の農家さんはどうしているんだろうと思い、師匠にも廃棄野菜の取り扱いについて聞いてみると、そのほとんどをとある友達と物々交換しているとのことでした。

その友達は、たくさんの農家や飲食店の方と繋がっていて、それぞれの廃棄になるものを回しているそうなんです。師匠は「この前は良質な牛肉と交換してもらったぞ(笑)」と言っていました。

確かに、生産、加工、サービス業含め、食べ物を扱う業者であれば必ず廃棄は出ると思うので、みんなが繋がれば、わらしべ長者ではないですが、廃棄のチンゲンサイをいろんな品物に変えていくことができるかもしれません。

前職の経験から、サービスとして立ち上げてみたくなってきました! フードロスの削減に繋がるきっかけになるのではと思います。

ですが、そもそも廃棄を抑える栽培技術を先に身につけなくてはいけませんね!

次回は、さわちんが利用している営農ツールについてご紹介したいと思います。今回の廃棄率の計算なども、日々ツールに記録をしているからこそ簡単にできること。農業は記録してなんぼだなぁ、と改めて思う今日この頃、私の使い方と生かし方をお伝えできればと思います。

【農家コラム】さわちんの「リアルタイム新規就農日記」
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WRITER LIST

  1. 堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
  2. 大槻万須美
    管理栄養士・フードスタイリスト。楽しく食べて健康に。食の大切さを伝えるため、料理教室、バレエダンサーやアスリートのパーソナル栄養サポート、レシピ・コラムの提供など幅広く活動。子どもの頃の毎年の米作り経験から、身近な食体験の重要性についても実感し、おとなと子どもの食育サポートにも力を注いでいる。
  3. 田牧一郎
    たまきいちろう。68歳。日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  4. 田中克樹
    たなかかつき。32年間の農業出版社勤務を経て、2020年末、故郷の八ヶ岳南麓に帰郷。仲間と共に農業・福祉系NPOを立ち上げ、遊休農地・耕作放棄地を再生し、心身の癒しや健康づくりにつながる有機無農薬の体験型農園づくりに取り組む。NPOでは田んぼ除草にホバークラフトを活用したスマート技術を開発中。農と風土(フード)を愛する人たち向けのブックカフェ・居酒屋を開くのが夢。
  5. 山田正美
    大阪工業大学大学院修了。福井県職員として、農業試験場研究員、専門技術員、農業技術経営課長、農林水産部技幹を経て退職。現在、日本生産者GAP協会常務理事、日本農業サポート研究所主席コンサルタント。
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