駆け出し農家のとある日の収益【さわちんの「リアルタイム新規就農日記」第2回】
コケチンファーム代表のさわちんと申します。
前回は、ついに就農を果たしたさわちんの一日の生活をお伝えしました。
最近は太陽が昇るのがどんどん早くなり、それに伴い私もどんどん早起きになっております。周りの農家さんも元気に出勤しており、農家の朝は早いな~と改めて噛みしめているところです。そして、朝起きるのが早い分、最近は妻と一緒に昼寝をするのが日課に。こんな生活スタイルになるなんて、一体誰が想像したでしょうか(笑)
さて、今回は農家としてデビューを果たしたさわちんの、一日の売り上げ、経費など、新規就農者のお金のリアルについて、お伝えします。
まず、さわちんのチンゲンサイが店頭に並ぶ前日、3月31日の朝に、コンテナ14杯分のチンゲンサイを収穫しました。この日は、さわちん一人で圃場に行ったため、収穫完了までに1時間40分かかりました。
次に、収穫したコンテナを家に持ち帰って、妻と一緒に出荷調整作業に取り掛かります。収穫してきたチンゲンサイの見た目をきれいにしたり、袋に詰めて値札を貼ったりといった作業です。ここで、虫に食われてしまったものや、極端に小さいものなどは、B品としてわが家のおかずへ流します。
この出荷調整作業にかかった時間は、2人で2時間30分。この作業により、84袋の商品ができあがりました。これらの商品はすべて地元スーパーが展開する直売所に出荷します。値段は、2株入りが114円、3株入りが116円、4株入りが118円。それぞれ重さはほとんど同じで、どの本数が一番よく売れるかの調査を目的としています。
最後は出荷作業。妻と二人で、車で5分のところにある出荷場に向かいます。ここで地元スーパーの店舗ごとに専用のコンテナを準備し、自分が出荷したい商品を詰めておくと、夕方に集荷して、各店舗へ配送してくれるというシステムです。コンテナの準備は出荷者の仕事になるので、せっせとコンテナを出しては、商品をつめていくという作業をしていきます。
この日は、42店舗に2袋ずつ出荷することにしました。1店舗にたくさんの数を出荷したほうが、出荷作業自体は楽ですが、売れる確率は下がっていくと推測されます。コンテナを1個1個、計42個出すのは面倒ですが、かけだし農家のさわちんが、楽をするわけにはいきません。この作業は2人で40分かかりました。
出荷の翌日、Web上で売り上げを確認してみると……
お! 結構売れたぞ!
なんと84袋中80袋、実に出荷数の95%が売れました。幸先のよいスタートがきれたなぁ♪ と喜んでいたことを覚えています。
……そう、支出の部を確認するまでは。
ということは、今回の出荷における純利益は、
9,085円-4,474円=4,611円
ということで、さわちんは4,611円の儲けを得ることができました。さて、この金額は妥当なのでしょうか。
出荷までにかかった労働時間は、私と妻であわせて8時間なので、時給に換算すると576円。
あれ? 最低賃金をぶっちぎってるんだけど。もっというと、畑を耕したり、水やりをしたり、収穫ができるようになるまでの管理作業も労働時間として含めるべきです。さらにさらに潅水設備やビニールハウス修繕などの経費も考慮する必要があります。
恐ろしくなってきたので今回は計算には含めませんでしたが、なかなか厳しい数字に直面したのでした。
例えば、今回の作付けにおいては、たくさんの廃棄を出してしまいました。
廃棄になったチンゲンサイは、虫食いがひどかったり、病気にかかっていたりと、管理が行き届いていないことが原因のものです。自然が相手なので防ぎようがない部分もありますが、適切なタイミングで防除を行うことで、もっと廃棄を減らすことができるでしょう。廃棄が減れば、袋数は多くなります。
また、収穫や出荷調整など、それぞれの作業もまだまだ効率化を図り、時間を減らすことができそうです。その時間を袋数の増加に充てれば、どんどん売り上げを伸ばせるでしょう。
他にも、95%売れたという実績から、チンゲンサイという野菜は少しマイナーながらも一定の需要があることもわかりました。直売所に出荷すると、こちらでは調整ができない「出荷手数料」が発生するので、このコストを抑えられる“その他の販路の開拓”も有効と考えます。
どうすれば、売り上げを伸ばしながら利益を最大化できるか、考えるのはとても楽しいですが、実現までにはなかなか遠いなぁと思う今日この頃でした。
さて次回は、新たに農協へと出荷できることになったさわちん目線で、そのメリットと直売所への出荷との違いなどをお伝えできればと思います。お楽しみに!
前回は、ついに就農を果たしたさわちんの一日の生活をお伝えしました。
最近は太陽が昇るのがどんどん早くなり、それに伴い私もどんどん早起きになっております。周りの農家さんも元気に出勤しており、農家の朝は早いな~と改めて噛みしめているところです。そして、朝起きるのが早い分、最近は妻と一緒に昼寝をするのが日課に。こんな生活スタイルになるなんて、一体誰が想像したでしょうか(笑)
さて、今回は農家としてデビューを果たしたさわちんの、一日の売り上げ、経費など、新規就農者のお金のリアルについて、お伝えします。
駆け出し農家の、ある一日の収益 ~チンゲンサイから生まれるお金~
1日に収穫したチンゲンサイがどれくらいの収益になるのか、今回は4月1日の売り上げデータをもとにお伝えしていきます。まず、さわちんのチンゲンサイが店頭に並ぶ前日、3月31日の朝に、コンテナ14杯分のチンゲンサイを収穫しました。この日は、さわちん一人で圃場に行ったため、収穫完了までに1時間40分かかりました。
次に、収穫したコンテナを家に持ち帰って、妻と一緒に出荷調整作業に取り掛かります。収穫してきたチンゲンサイの見た目をきれいにしたり、袋に詰めて値札を貼ったりといった作業です。ここで、虫に食われてしまったものや、極端に小さいものなどは、B品としてわが家のおかずへ流します。
この出荷調整作業にかかった時間は、2人で2時間30分。この作業により、84袋の商品ができあがりました。これらの商品はすべて地元スーパーが展開する直売所に出荷します。値段は、2株入りが114円、3株入りが116円、4株入りが118円。それぞれ重さはほとんど同じで、どの本数が一番よく売れるかの調査を目的としています。
最後は出荷作業。妻と二人で、車で5分のところにある出荷場に向かいます。ここで地元スーパーの店舗ごとに専用のコンテナを準備し、自分が出荷したい商品を詰めておくと、夕方に集荷して、各店舗へ配送してくれるというシステムです。コンテナの準備は出荷者の仕事になるので、せっせとコンテナを出しては、商品をつめていくという作業をしていきます。
この日は、42店舗に2袋ずつ出荷することにしました。1店舗にたくさんの数を出荷したほうが、出荷作業自体は楽ですが、売れる確率は下がっていくと推測されます。コンテナを1個1個、計42個出すのは面倒ですが、かけだし農家のさわちんが、楽をするわけにはいきません。この作業は2人で40分かかりました。
出荷の翌日、Web上で売り上げを確認してみると……
- 売れた袋数…80袋
- 合計金額…9,085円
- 平均単価…113円/袋 (出荷先店舗独自の値引きがあった模様)
お! 結構売れたぞ!
なんと84袋中80袋、実に出荷数の95%が売れました。幸先のよいスタートがきれたなぁ♪ と喜んでいたことを覚えています。
……そう、支出の部を確認するまでは。
出荷までにかかった経費について
収益については、整理ができました。それでは、チンゲンサイを出荷するまでに必要だった経費について、お伝えしましょう。ということは、今回の出荷における純利益は、
9,085円-4,474円=4,611円
ということで、さわちんは4,611円の儲けを得ることができました。さて、この金額は妥当なのでしょうか。
出荷までにかかった労働時間は、私と妻であわせて8時間なので、時給に換算すると576円。
あれ? 最低賃金をぶっちぎってるんだけど。もっというと、畑を耕したり、水やりをしたり、収穫ができるようになるまでの管理作業も労働時間として含めるべきです。さらにさらに潅水設備やビニールハウス修繕などの経費も考慮する必要があります。
恐ろしくなってきたので今回は計算には含めませんでしたが、なかなか厳しい数字に直面したのでした。
やっぱり農業は儲からない??
今回、ある日の出荷を取り上げて、所得について分析してみました。この結果だけを見ると、農業って儲からないじゃん! と思いがちですが、さわちんの感触としては、「そんなことない! 」です(ただの強がりかも……)。例えば、今回の作付けにおいては、たくさんの廃棄を出してしまいました。
廃棄になったチンゲンサイは、虫食いがひどかったり、病気にかかっていたりと、管理が行き届いていないことが原因のものです。自然が相手なので防ぎようがない部分もありますが、適切なタイミングで防除を行うことで、もっと廃棄を減らすことができるでしょう。廃棄が減れば、袋数は多くなります。
また、収穫や出荷調整など、それぞれの作業もまだまだ効率化を図り、時間を減らすことができそうです。その時間を袋数の増加に充てれば、どんどん売り上げを伸ばせるでしょう。
他にも、95%売れたという実績から、チンゲンサイという野菜は少しマイナーながらも一定の需要があることもわかりました。直売所に出荷すると、こちらでは調整ができない「出荷手数料」が発生するので、このコストを抑えられる“その他の販路の開拓”も有効と考えます。
どうすれば、売り上げを伸ばしながら利益を最大化できるか、考えるのはとても楽しいですが、実現までにはなかなか遠いなぁと思う今日この頃でした。
さて次回は、新たに農協へと出荷できることになったさわちん目線で、そのメリットと直売所への出荷との違いなどをお伝えできればと思います。お楽しみに!
【農家コラム】さわちんの「リアルタイム新規就農日記」
- 新規就農に必要なのはITスキル・コミュ力・マネジメント力! さらに成長した姿で会いましょう! 【さわちんの「リアルタイム新規就農日記」第14回】
- 農家2年目! 目標所得を達成するためには【さわちんの「リアルタイム新規就農日記」第13回】
- チンゲンサイ農家1年生の収支をご報告! 【さわちんの「リアルタイム新規就農日記」第12回】
- Uターン就農2年目突入! 2021年の成績&2022年の抱負を語ります【さわちんの「リアルタイム新規就農日記」第10回】
- Uターン就農1年! 直面している「困ったこと」【さわちんの「リアルタイム新規就農日記」第9回】
- 就農1年目! チンゲンサイ農家の収入・経費・人件費を大公開します!【さわちんの「リアルタイム新規就農日記」第8回】
- ネットショップ計画、始動します! 【さわちんの「リアルタイム新規就農日記」第7回】
- 理想の「スマートセンサー」はどれ? いろいろ調べてみた【さわちんの「リアルタイム新規就農日記」第6回】
- 新米農家は記録が肝心! 「アグリノート」を使ってみた【さわちんの「リアルタイム新規就農日記」第5回】
- 「もったいない」精神を発揮! 廃棄野菜を利用する方法を考えてみた【さわちんの「リアルタイム新規就農日記」第4回】
- 新しい販路・「JA」に出荷しました!【さわちんの「リアルタイム新規就農日記」第3回】
- 駆け出し農家のとある日の収益【さわちんの「リアルタイム新規就農日記」第2回】
- デビューほやほや! 新米農家の一日の仕事【さわちんの「リアルタイム新規就農日記」第1回】
- 農業大学校を卒業しました!【農家見習い・さわちんの「リアルタイム新規就農日記」第21回】
- さわちんオススメ! 美味しいかんきつトップ5【農家見習い・さわちんの「リアルタイム新規就農日記」第20回】
- まるで修行!? な剪定作業【農家見習い・さわちんの「リアルタイム新規就農日記」第19回】
- 何かと物要りな就農! 補助金を申請してみた【農家見習い・さわちんの「リアルタイム新規就農日記」第18回】
- 初めてチンゲンサイが売れました! 【農家見習い・さわちんの「リアルタイム新規就農日記」第17回】
- スムーズな水やりが実現! 灌水設備を作ってみた【農家見習い・さわちんの「リアルタイム新規就農日記」第16回】
- 新規就農1年で学んだ「いま農家になるために必要なこと」【農家見習い・さわちんの「リアルタイム新規就農日記」第15回】
- ついに栽培を開始したチンゲンサイにさっそく“アイツ”が……【農家見習い・さわちんの「リアルタイム新規就農日記」第14回】
- ドローン防除を体験! 未来が少し近づいた一日【農家見習い・さわちんの「リアルタイム新規就農日記」第13回】
- ユズの収穫は思ったよりも大変!【農家見習い・さわちんの「リアルタイム新規就農日記」第12回】
- 想像以上に重労働! 初めてのビニールハウス【農家見習い・さわちんの「リアルタイム新規就農日記」第11回】
- 移住&新規就農からの半年間を振り返ってみました【さわちんの「リアルタイム新規就農日記」第10回】
- 移住して半年。新型コロナ禍を移住先で過ごした家族の感想は? 【農家見習い・さわちんの「リアルタイム新規就農日記」第9回】
- 農業大学校でIoTセンサーを導入して気づいたこと【さわちんの「リアルタイム新規就農日記」第8回】
- 農家研修で身をもって知った、かんきつ農家の苦労【さわちんの「リアルタイム新規就農日記」第7回】
- 「農業大学校」で学んでいること【さわちんの「リアルタイム新規就農日記」第6回】
- 念願の農地(ビニールハウス)をゲット!【さわちんの「リアルタイム新規就農日記」第5回】
- 移住して3カ月、家族の感想は……?【さわちんの「リアルタイム新規就農日記」第4回】
- 移住セミナーで決心! さわちん一家、移住する!【さわちんの「リアルタイム新規就農日記」第3回】
- 就農で理想の子育てを実現したい! 家族に打ち明けた思い【さわちんの「リアルタイム新規就農日記」第2回】
- この手で農業のイメージを変える! 私が就農を目指すまで【農家見習い・さわちんの「リアルタイム新規就農日記」第1回】
SHARE