まるで修行!? な剪定作業【農家見習い・さわちんの「リアルタイム新規就農日記」第19回】

「SMART AGRI」をご覧のみなさん、こんにちは。さわちんと申します。

現在38歳で、妻と小学生の子ども2人の4人家族です。

前回は、就農するにあたって自治体から受けられるさまざまなサポートのうち、補助金の部分にフォーカスした内容をお伝えしました。

ゼロから農業を始める場合、収入がゼロになる期間があるにも関わらず、設備の購入費や生活費など、お金が必要となります。補助金だけで生活はできませんが、少しでもサポートしてもらえるのは本当にありがたいです。本気で就農を目指している方には、ぜひとも活用してほしいと思います。

さて今回は、果樹を栽培するにあたって、最も重要といっても過言ではない「剪定」についてお伝えしたいと思います。


収益を得るためにも大切な「剪定」

「剪定」とは、すっごい簡単にまとめると、木の枝を切ることです。庭師さんが植木を切って美しい形に仕上げることを思い浮かべると、ピンとくるのではないでしょうか。

剪定のイメージイラストイラスト:ヤマハチ
観賞用に植えた木であれば、「いかに美しくするか」がポイントになりますが、果樹の場合、そうはいきません。収益を得るために、枝を切る=剪定をするのです。

「どういうこと? 」とお思いの方もいらっしゃるかもしれませんので、剪定にどんな目的があるか、簡単にご説明しますね。

枝や葉、果実の願い「しっかり日光を浴びたい! 」に応える


どんなに大きな果樹でも、小さなチンゲンサイでも、生育期間中に十分な日光を当てることが、非常に重要です。小学生の頃、理科の授業で習ったと思いますが、植物は光合成によって栄養を作り出し、自らを成長させます。

もちろん、根からも肥料を吸い上げて、栄養を吸収しますが、そのバランスがとっても大事なんです。

また、果実自身も日光をよく浴びることで、甘くなったり、色づきが良くなったりします。木のためにも果実のためにも、太陽の光はとっても大事なので、しっかり浴びさせることができるよう、剪定をする必要があるのです。

隔年結果をできるだけ少なくすることで、収量を安定させる


これは専門用語になりますが、大体のかんきつには「隔年結果」という習性があります。

たっぷり果実が実った翌年は、木が疲れてしまって、あまり果実が実らなくなってしまうのです。その翌年は、前年に実らなかった分、木が元気になるので、果実がたっぷり実って……というのを繰り返す傾向にあります。

「表年」、「裏年」なんて言い方をするのですが、これが結構厄介なのです。その年によって収量が安定しなくなる=収益が安定しなくなるからです。

この状態が続いてしまうと経営が不安定になってしまうので、剪定をすることによって、収量を調整します。果実を実らせすぎても、実らせなさすぎてもダメ。剪定の腕の見せ所です。

収穫をしやすくする


果樹で生計を立てる場合、ほとんどは果実を収穫して出荷することで収益を上げることになります。そのため、果実の旬に収穫作業を行うことが必須になります。

その時に、木の背が高すぎたり、枝がたくさんありすぎたりして、反対側が見えないような状態だと、果実を1つ収穫するのにも、大変な苦労になります。

収穫が遅れてしまうと、果実の品質が落ちてしまったり、市場価格が下落してきたりと、いいことはありません(あえて遅くする技術もあるようですが)。

収穫作業をスムーズに行うためにも、剪定は大事な作業になります。


レッツ剪定! ところが……

剪定の重要性について、おわかりいただけたでしょうか。他にもたくさんの意味がありますが、かんきつアカデミーの授業みたいになるので割愛しておきます(笑)。

さわちんも、かんきつアカデミーの圃場で実際にユズの剪定作業を行いました。

剪定は、剪定ばさみと剪定のこぎりを使って行うのが一般的です。あとは背が高い木を切るための脚立や、切り跡に塗る薬なども一緒に持っていきます。

さてこの剪定作業、ひとことでいうと「枝を切ること」なのですが、これがとんでもなく難しい。

果実が実りそうな枝を見極めつつ、今後どのように木を成長させていきたいかを考えながら枝を切っていきます。これは必要な枝、これは必要ない枝……ものすごく独り言が増えます(笑)。

しかも、罠もたくさん潜んでいます。ユズの収穫の記事でもお伝えしましたが、ユズにはものすごいトゲがあり、剪定をしているさわちんに襲いかかってきます。集中しすぎると、あやまってトゲにブスッと……なんてことに。そうならないように気をつけなければなりません。

1時間くらい木と格闘しても終わらないし、だんだんわからなくなってくるしで、先生にどうしたら剪定がうまくなりますか? と質問したところ、

「切って切って、切りまくるしかないよ。ほら、頑張って。」

とのこと。やはり経験を積みまくるしかないんだなぁと、ブツブツ独り言が漏れるのでした。

一本剪定が終わりまして、剪定前はこんな感じでしたが……、

剪定前のユズ剪定前のユズ
剪定すると、こんな感じになります。

剪定後のユズ剪定後のユズ
剪定前後でまるで別の木のようになってしまっていますが、大体こんなイメージです。

見た目にもスッキリだし、木全体がしっかり日光を浴びることができるので、良い果実ができそうです。

これだけ見ると、簡単そうに思えますが、もんのすごく奥が深いんですよ! 面白いんですけどね!

剪定は果樹にとってすごく大事な作業。3月末でかんきつアカデミーも卒業になるので、しっかり学んでおきたいと思います。

いかがでしたか。剪定の大切さや難しさが伝わって、普段口にする果実には、農家さんのたくさんの努力や苦労が背景にあることを知ってもらえると、とってもうれしいです。

さて次回は、就農スタートにあたっての、地方自治体から受けられる、補助金などのさまざまなサポートについて、お伝えしようと思います。少しでもわかりやすくなるように頑張ります!

【農家コラム】さわちんの「リアルタイム新規就農日記」
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WRITER LIST

  1. 堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
  2. 大槻万須美
    管理栄養士・フードスタイリスト。楽しく食べて健康に。食の大切さを伝えるため、料理教室、バレエダンサーやアスリートのパーソナル栄養サポート、レシピ・コラムの提供など幅広く活動。子どもの頃の毎年の米作り経験から、身近な食体験の重要性についても実感し、おとなと子どもの食育サポートにも力を注いでいる。
  3. 田牧一郎
    たまきいちろう。68歳。日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  4. 田中克樹
    たなかかつき。32年間の農業出版社勤務を経て、2020年末、故郷の八ヶ岳南麓に帰郷。仲間と共に農業・福祉系NPOを立ち上げ、遊休農地・耕作放棄地を再生し、心身の癒しや健康づくりにつながる有機無農薬の体験型農園づくりに取り組む。NPOでは田んぼ除草にホバークラフトを活用したスマート技術を開発中。農と風土(フード)を愛する人たち向けのブックカフェ・居酒屋を開くのが夢。
  5. 山田正美
    大阪工業大学大学院修了。福井県職員として、農業試験場研究員、専門技術員、農業技術経営課長、農林水産部技幹を経て退職。現在、日本生産者GAP協会常務理事、日本農業サポート研究所主席コンサルタント。
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