就農1年目! チンゲンサイ農家の収入・経費・人件費を大公開します!【さわちんの「リアルタイム新規就農日記」第8回】

「SMART AGRI」をご覧のみなさん、こんにちは。コケチンファーム代表のさわちんです!

前回は、コケチンファームのネットショップ計画についてお伝えしました。昨今、簡単にネットショップを立ち上げるためのサービスが充実してきていますが、いざ本格的に作ろうと考えると、いろいろ決めなければいけないことがたくさん。

たとえば受注管理や商品管理、顧客管理など、商品の売買には直接関係ないところまでおよびますので、未だコケチンファームのネットショップは開業できていません……。オープンしたらお伝えしますので、ぜひ訪問をお願いします!

そういえば、コケチンファームの圃場面積が拡大しましたので、ご報告です。これまで圃場面積の合計は約12aでしたが、なんと20aにまで拡大しました!

新しくビニールハウス付きの農地を借りることができました。


たくさんチンゲンサイを栽培できるようになりましたので、苗を育てるスペースもだいぶ拡張しております。



たくさん植え付けをしましたが、さあ果たして無事に収穫を終えることができるでしょうか……。



移住してすぐ、師匠をはじめとした先輩農家の方々に、「2反(20a)は必要だぞ! 」と言われており、どうやって確保したものかと頭を悩ませていましたが、いろんな縁あって達成することができました。あとはチンゲンサイを育てて出荷するのみ!

さて今回は、わがコケチンファームの営農状況の整理と題して、これまでを振り返ってみたいと思っております。また、さわちんが直売所にチンゲンサイを出荷する際の値段「120円(税抜)」の妥当性についても検証してみます。

イラスト:ヤマハチ

新米チンゲンサイ農家の所得はいくら?


そもそもなぜ「120円(税抜)」に設定したかというと、「4人家族の副菜一品になる程度のボリューム=120円」という さわちん一家の家計から考えた願望が反映されているから。

この価格が採算ベースで正しいのか、間違っているのか? さて、どうなることやら……。

【ステップ1】 まず、収入はおいくら?


それでは、少し恥ずかしいですがコケチンファームの2021年第1四半期(4~6月)の売上を見ていきましょう。「売上」から「出荷手数料」を差し引いた、粗利を記載します。

※第1四半期を例に挙げた理由は、第2四半期にほとんど売上がないためです。就農1年目ですが長い夏休みをとっていました(笑)。


【ステップ2】 次に経費はおいくら?


次に、出荷するまでにかかったさまざまな経費を見ていきましょう。経費に関しては、栽培期間が各月をまたぐため、一括で計上することとします。


【ステップ3】 最後に人件費はおいくら?


最後は、人件費を算出してみましょう。4~6月までで、私と妻の稼働は全部で574時間。平均すると190時間/月ですが、私が妻の約2倍は稼働していると考えて、

さわちん:120時間/月
妻:70時間/月

といったところでしょうか。

そして、徳島県の最低賃金824円 (2021年10月現在)で計算すると……

さわちん:¥296,640
妻:¥173,040
合計:¥469,680

【ステップ4】 所得を計算してみよう!


では、収入と支出が出ましたので、所得を求めてみましょう

¥436,027-¥206,665-¥469,680=-¥240,318

あちゃー、ばっちり赤字です。まいりましたね! 本当はだめですが、今はいったん人件費を考慮しない所得を考えてみましょう。

¥436,027-¥206,665=¥229,362=¥76,454/月

となりました。なんと1カ月あたりの所得が「76,454円」しかないんですね……。これでは生活が難しいなぁ、どうしようかなぁと凹み気味になってしまいました。


目標は“月収30万円”! 達成するためには……

しかし、こういった時に備えて、補助金制度があるんですよね! 以前こちらの記事で紹介した「農業次世代人材投資資金 ~経営開始型~」を覚えていらっしゃるでしょうか。

新規就農から経営が安定するであろうと予想される5年間補助金を支給してくれる制度です。詳細な説明は、以前の記事をご確認いただければと思いますが、さわちんもしっかり申請を行いました。書類を作ったり、面接を繰り返したりといろいろありましたが、無事に承認されて、補助金を受け取ることができております。

その金額が妻とあわせて、なんと年間225万円(※雑収入になるので、税金は引かれます)。これを月ベースに直すと18万7500円になります。

まだまだ新米なので、こちらも所得として加えると……1カ月あたりの所得が26万3954円になりました。でもでも、やっぱり月収30万円は欲しいなぁと思うので、差額の3万6046円を直売所の売上から捻出したいと思います。

出荷手数料を30%に設定して、「120円」に上乗せすべき金額(x)を算出してみました。

4187(袋)×(1-0.3) x = ¥36,046×3(カ月)=¥108,138
0.7x≒¥26
x=¥37

ということで、上乗せするべき価格は37円となりました。消費税を考慮すると、どうやら月収30万円を達成するためには、1袋当たり154円(税抜き)で売らなければいけないようです。今まで少し安くしすぎてしまっていたみたいですね。

こうやって振り返って計算してみると、自分にとって適正な価格というのがわかりますね。

しかし、適正価格が売れる価格かどうかは、別の話。売れなければ元も子もありませんので、相場を気にしながら値段をつけなければいけません。やっぱりネットショップを開設して、自分の好きな値段で売れたらいいな~と思うさわちんでありました。


さて次回は、本格的に新規就農してから半年が過ぎ、毎日の作業もこなれてきた今感じている「困っていること」をランキング形式でお伝えできればと思います。

農業はもちろんのこと、田舎暮らしという観点で頭を悩ませていることなど、いろいろ浮かんできました。もしかしたら、同じく新規就農した皆さんにも「あるある~!! 」な内容になるかなぁと思いますので、ぜひお楽しみに!

【農家コラム】さわちんの「リアルタイム新規就農日記」
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  1. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  2. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  3. 石坂晃
    石坂晃
    1970年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、福岡県の農業職公務員として野菜に関する普及指導活動や果樹に関する品種開発に従事する一方、韓国語を独学で習得(韓国語能力試験6級)。退職後、2024年3月に玄海農財通商合同会社を設立し代表に就任、日本進出を志向する韓国企業・団体のコンサルティングや韓国農業資材の輸入販売を行っている。会社HP:https://genkai-nozai.com/home/個人のブログ:https://sinkankokunogyo.blog/
  4. 川島礼二郎
    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 堀口泰子
    堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
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