新規就農に必要なのはITスキル・コミュ力・マネジメント力! さらに成長した姿で会いましょう! 【さわちんの「リアルタイム新規就農日記」第14回】

こんにちは。コケチンファーム代表のさわちんです!

前回は、農家2年生の所得目標をお伝えしました。所得は「売上-経費」というとても単純な計算で導き出される数字ですが、これが奥が深い。家族を養うためにも、しっかり目標をもって、達成していかなければいけません。

やみくもに「頑張る! 」のではなく、売上を伸ばすポイントや、経費を抑えるポイントをしっかり理解することで、初年度の1.5倍の所得を目標としています(ほんとは2倍にしたかったけど、夢の数字にしても意味ないので……)。

この連載も実は今回で最終回。就農を目指す人に少しでも役に立つような情報を届けたいと思い、就農前の農業大学校時代に始まり、新規就農してからも寄稿し続けてはや2年。いろんな思い出が走馬灯のように巡り、半べそ状態でこの原稿を書いております。


最終回は、集大成として「農家として生計を立てるための必須スキル」をお届けしたいと思います。

以前にも記事にしたことはありますが、1年間チンゲンサイを栽培してきた、新規就農者の目線として、改めてお伝えしたいと思います!


プロジェクトマネジメントスキル

いきなりですが、これに尽きると思います。1回の作付(種を撒いてから出荷をするまでの単位)をプロジェクトととらえ、適切なマネジメントができるかどうかです。これができないと、農家として成功できないと断言できるくらい、大事なスキルです。

これはIT系のSEさんに必要なスキルと思われがちですが、農業でも必須だと思っています。

というわけで、まずは、コケチンファームのある一日の仕事と稼働時間を見てみましょう。


我ながら、頑張って仕事してますね(笑)。

圃場A~Cは隣接しているのですが、家からは離れています。複数の圃場で別々の作業があるため、効率よく終わらせるためのタスク内容や順番を検討する必要があります。いわゆる「段取り」ってやつですね。

また、家族で過ごす時間を大事にしたいので、朝ごはんと、18時以降は子どもたちと一緒に家にいると決めています。つまり、この時間までに作業を終わらせる必要があるということです。

さらに、不確定要素がからんできます。それは「天気」。ビニールハウス栽培において、天候は関係ないと思われがちですが、そんなことはありません。雨や風の具合によっては、インフラの整備等の仕事も増えてしまいます。

気温が高くなると、チンゲンサイの生育スピードが急に早くなり、想定よりも収穫作業を早めないといけないときもあります。その場合、タスクの優先度(プライオリティ)をその場で変更していきます。今日やるべきこと、近日中にやるべきこと、後回しにできることなどのプライオリティを決め、実行していきます。

まるで気分はプロジェクトマネージャー(通称:プロマネ)。そして成果物は「チンゲンサイ」なので、収入にダイレクトに直結します。毎日プレッシャーがすごいです(笑)。


コミュニケーションスキル

これは前回と同じになりますが、改めて重要であることを認識してもらいたいです。

日々の作業は、自分もしくは妻でこなすことができますが、ビニールハウスのビニール張替えや修繕作業など、自分一人では到底できないことが多くあります。


他にも、お勧めのチンゲンサイの品種や、季節それぞれで気を付けること、相場の状況など、自分一人では知ることができない情報を得ることも大事です。

そんなときに頼りになるのが、周りの先輩方! これまでの経験を惜しげもなく話してくださるので、困ったときはいつも相談しています。また、全く違う作物の農家さんでも、世間話をしていると、思わぬヒントを得ることもあります。

やっぱり田舎で農業をするにはチームワークが大事。チームワークを醸成するには、普段のコミュニケーションがさらに大事! 一人で作業に没頭するより、地域のみなさんと協力しあいながら農業をする方が、ずっと良い成果をにつなげることができます。

このように、屈強なおじさまたちと野良仕事をする、これも大事なコミュニケーションのはず……。体のあちこち痛くなりますが。



ITスキル

これも必須だと思います。なにも「プログラミングしてアプリケーションを作れ!」と言っているわけではありません(さわちんもそれはできません……)。

毎日の作業や出荷量などを記録していく、確定申告などの事務処理を簡単にするなど、すでに世に溢れているアプリケーションを組みあわせて利用することで、グッと農業が楽になります。

さわちんは「アグリノート」をずっと利用していますが、コツコツと記録してきたおかげで膨大なデータがたまってきました。季節による生育状況や、チンゲンサイ価格の推移など、さまざまなデータを参照できるようになってきています。


自分の営農にも役立てることができますが、他にも加茂谷地域へ移住就農してくる方への参考情報としても提供しています。ネット上を探しても、「1反あたりの総労働時間」といったざっくりのデータはありますが、日々の作業やそれにかかる時間など、リアルな細かい営農データは出てこないものです。

そんな時、あくまで一つの例にはなりますが、コケチンファームの営農状況が役に立てばうれしいなと思います。


つまり、まとめると……

これまでお伝えしたことをまとめると、

「ITスキルを持ったコミュニケーション能力の高いプロジェクトマネージャー」

が農家に求められる人物像なんですね! ……ほんとかな?

もちろん、このスキルがないと、農家になれないわけではありませんが、いわゆる「篤農家」になるまでの時間はグッと短くなるものと信じています。

田舎の景色には、ふと目にした瞬間に心と身体を軽くしてくれる力があると思います。皆様も、そんな瞬間が日常に溢れる場所で、農業してみませんか?



番外編 ~ニワトリ飼育スキル~

コケチンファームの元になった「コケチ」たちを飼うこと、これも大事なスキルです(笑)。彼女たちはほぼ毎日、さわちん一家に新鮮な卵を供給してくれています。

エサはもちろんチンゲンサイ! いつも美味しそうに食べてくれます。

疲れたとき、たまにぼ~っとコケチ達を眺めるときがあります。彼女たちの土をほじくる姿を見ていると、癒されますね。やっぱりペットを飼うっていいなぁと思う瞬間です。



彼女たちも、もう2歳を過ぎました。そろそろ卵を産む数が減ってくるそうです。一般的な養鶏では、「廃鶏」といって、処分されてしまう年頃です(泣)。でもコケチたちは、さわちんの家族。天寿を全うするまで、ずっとずっと大事にしていきたいと思います。


いかがでしたか。最後に少し脱線しましたが、さわちんが1年を通して感じた、「農家として生計を立てるための必須スキル」をお伝えしました。さわちんが元IT会社に勤めていたので、IT的な用語になりましたが、きっとどんな業界でもさまざまに言いかえることはできるでしょう。

そして今回お伝えしたスキルは、いつでも自分自身で研鑽することができます。就農予定の方も、これから情報収集する方も、ぜひ知っておいてもらいたいと思います。

さて、これで「さわちんのリアルタイム新規就農日記」は一旦おひらきとなります。初めて読んでくれた方も、長い間お付き合いいただいた方も、本当にありがとうございました!

そして、なによりSMART AGRI編集部の皆様、毎度シビれるイラストを書いてくださったヤマハチさん、本当にお世話になりました。

といっても、またご報告できることがあればSMART AGRIに戻ってきたいと思うので(笑)、またどこかで会える日を楽しみにしながら、目標に向かって邁進していきたいと思います。

それでは皆様、また会える日まで!

【農家コラム】さわちんの「リアルタイム新規就農日記」
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WRITER LIST

  1. 槇 紗加
    1998年生まれ。日本女子大卒。レモン農家になるため、大学卒業直前に小田原に移住し修行を始める。在学中は、食べチョクなど数社でマーケティングや営業を経験。その経験を活かして、農園のHPを作ったりオンライン販売を強化したりしています。将来は、レモンサワー農園を開きたい。
  2. 田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  3. さわちん
    2児の父。あるきっかけにより農業のイメージを変えたいと考え、16年間のサラリーマン生活にピリオドを打つことを決意。2020年春、家族で田舎に移住し、新規就農を目指す。自身が「移住×就農のモデルケース」となるために、いろんな方面へ向けて奮闘中。
  4. 福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  5. 窪田新之助
    農業ジャーナリスト。福岡県生まれ。日本経済新聞社が主催する農業とテクノロジーをテーマにしたグローバルイベント「AG/SUM(アグサム)」プロジェクトアドバイザー、ロボットビジネスを支援するNPO法人Robizyアドバイザー。著書に『日本発「ロボットAI農業」の凄い未来』『GDP 4%の日本農業は自動車産業を超える』(いずれも講談社)など。