「科学者の心」を持って自ら考えてほしい 〜遺伝子組み換え技術の議論【窪田新之助のスマート農業コラム】
日本では遺伝子組み換え技術にまつわる誤解はどうにも根強い。
たとえば、「遺伝子組み換え技術で育種した作物は国内での栽培が禁じられている」、「遺伝子組み換え食品は輸入されていないので、日常食べていない」といったものだ。
しかし、いずれも事実とは異なる。
こうした誤解を解消する書籍が出版された。
それは、元・日本モンサント(現・バイエル)社長で、現在は株式会社アグリシーズ社長を務める山根精一郎さんによる「もしもがんを予防できる野菜があったら 『遺伝子組み換え食品が世界を救う』」(幻冬舎)だ。同書を読むと、遺伝子組み換え技術ついて、いかに日本で誤解が多いかがわかる。
たとえば、日本では過去25年ほどの間に、食卓に遺伝子組み換え食品が浸透していった。特にトウモロコシや大豆などの加工品などで日常的に口にするようになっている。
同書に書かれていた事例で意外だったのはチーズだ。チーズは、遺伝子組み換え技術があるからこそ大量生産できるようになった食品だという。
牛乳のタンパク質を固める際、昔は子牛の4番目の胃から取れる「キモシン」という酵素を使っていた。しかし、一度に取れるキモシンの量はごくわずか。
そこで、微生物にキモシンを作る遺伝子を組み込むことで、キモシンを大量生産できる技術が開発された。現在では世界におけるチーズの製造量の約6割が遺伝子組み換えキモシンを利用していて、もちろん日本人もそのチーズを普通に食べているという。
また、遺伝子組み換え作物は日本で栽培が禁じられていると思われがちだが、これも事実ではない。実際には大豆やトウモロコシなど146品種で栽培が承認されている。それは、食品や飼料、環境面での安全性が評価されているからだ。
事実としては「許可」なのですが、下記の農水省のQ&A上では「許している」というニュアンスではないようにも思います。
ただし、農水省自身も栽培の承認以降に安全性が変わる可能性は否定していない。そのため、許可した上でさらに、何らかの問題が生じた場合にはただちに栽培中止などの命令が下せるよう、遺伝子組み換え作物を開発した企業への緊急措置計画の策定も義務付けられている。(それでも商業栽培されているのは青いカーネーションだけである)。
もし、なぜ遺伝子組み換え作物が許可されているのか、その理由を確かめたいなら、まずは山根さんの著書を読むことを勧めたい。遺伝子組み換え技術についてこれほど広範に、わかりやすく書かれた本は希少である。
山根さんが本書を通して伝えたいことの一つは、一人でも多くの人に「科学者の心」を持ってもらうことだ。
日本における遺伝子組み換え技術を巡る議論では、思い込みや似非科学に基づく意見が幅を利かせがちだ。科学的な遺伝子組み換え技術についての知識をしっかり知り、賛否両論にも耳を傾けながら、農業関係者はもちろん、消費者にも、データに基づいて自ら判断する「科学者の心」を養ってもらいたいという。
これは食に関するあらゆる議論に共通する大事である。
遺伝子組換え農作物に関するQ&A|農林水産省
https://www.maff.go.jp/j/syouan/nouan/carta/kiso_joho/qanda.html
カルタヘナ法に基づく生物多様性の保全に向けた取組
https://www.maff.go.jp/j/syouan/nouan/carta/torikumi/index.html#1
もしもがんを予防できる野菜があったら 「遺伝子組み換え食品」が世界を救う | 株式会社幻冬舎
https://www.gentosha.co.jp/book/b14197.html
たとえば、「遺伝子組み換え技術で育種した作物は国内での栽培が禁じられている」、「遺伝子組み換え食品は輸入されていないので、日常食べていない」といったものだ。
しかし、いずれも事実とは異なる。
「遺伝子組み換え食品」は悪か
こうした誤解を解消する書籍が出版された。
それは、元・日本モンサント(現・バイエル)社長で、現在は株式会社アグリシーズ社長を務める山根精一郎さんによる「もしもがんを予防できる野菜があったら 『遺伝子組み換え食品が世界を救う』」(幻冬舎)だ。同書を読むと、遺伝子組み換え技術ついて、いかに日本で誤解が多いかがわかる。
たとえば、日本では過去25年ほどの間に、食卓に遺伝子組み換え食品が浸透していった。特にトウモロコシや大豆などの加工品などで日常的に口にするようになっている。
同書に書かれていた事例で意外だったのはチーズだ。チーズは、遺伝子組み換え技術があるからこそ大量生産できるようになった食品だという。
牛乳のタンパク質を固める際、昔は子牛の4番目の胃から取れる「キモシン」という酵素を使っていた。しかし、一度に取れるキモシンの量はごくわずか。
そこで、微生物にキモシンを作る遺伝子を組み込むことで、キモシンを大量生産できる技術が開発された。現在では世界におけるチーズの製造量の約6割が遺伝子組み換えキモシンを利用していて、もちろん日本人もそのチーズを普通に食べているという。
国内でも遺伝子組み換え作物は栽培されている
また、遺伝子組み換え作物は日本で栽培が禁じられていると思われがちだが、これも事実ではない。実際には大豆やトウモロコシなど146品種で栽培が承認されている。それは、食品や飼料、環境面での安全性が評価されているからだ。
事実としては「許可」なのですが、下記の農水省のQ&A上では「許している」というニュアンスではないようにも思います。
ただし、農水省自身も栽培の承認以降に安全性が変わる可能性は否定していない。そのため、許可した上でさらに、何らかの問題が生じた場合にはただちに栽培中止などの命令が下せるよう、遺伝子組み換え作物を開発した企業への緊急措置計画の策定も義務付けられている。(それでも商業栽培されているのは青いカーネーションだけである)。
大切なのは、「科学者の心」を持つこと
もし、なぜ遺伝子組み換え作物が許可されているのか、その理由を確かめたいなら、まずは山根さんの著書を読むことを勧めたい。遺伝子組み換え技術についてこれほど広範に、わかりやすく書かれた本は希少である。
山根さんが本書を通して伝えたいことの一つは、一人でも多くの人に「科学者の心」を持ってもらうことだ。
日本における遺伝子組み換え技術を巡る議論では、思い込みや似非科学に基づく意見が幅を利かせがちだ。科学的な遺伝子組み換え技術についての知識をしっかり知り、賛否両論にも耳を傾けながら、農業関係者はもちろん、消費者にも、データに基づいて自ら判断する「科学者の心」を養ってもらいたいという。
これは食に関するあらゆる議論に共通する大事である。
遺伝子組換え農作物に関するQ&A|農林水産省
https://www.maff.go.jp/j/syouan/nouan/carta/kiso_joho/qanda.html
カルタヘナ法に基づく生物多様性の保全に向けた取組
https://www.maff.go.jp/j/syouan/nouan/carta/torikumi/index.html#1
もしもがんを予防できる野菜があったら 「遺伝子組み換え食品」が世界を救う | 株式会社幻冬舎
https://www.gentosha.co.jp/book/b14197.html
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