麦わらのストローで脱プラ。農家らがプロジェクトを始動【窪田新之助のスマート農業コラム】

佐賀県伊万里市の株式会社フェルマ木須が農業経営で大事にしているのは「種から袋詰めまで」。

自ら生産した農産物の商品化にこだわる会社が有志の組織や企業と連携して今回始めたのは、麦わらを原料にしたストローの販売だ。国産麦の振興と脱プラスチック(以下、脱プラ)に向けて支援者を募集している。


食品安全の基準をクリア

代表の木須栄作さん(41)は秋田県立短期大学を卒業後、佐賀県の農業法人での1年間の研修を経て実家で就農した。法人化したのは2017年。作付け面積は稲が約40ha、もち麦が約50ha、豆とタカキビが合わせて約8haに及ぶ。

一方で、「もち麦飴」や「きゅうりアイス」などの加工品もつくってきた。最近では真空状態で包装した米麦麹と煮大豆のほか、袋に入った塩と昆布を梱包した「もち麦味噌手作りキット」の販売も始めた。

そこに今回新たに加わったのが麦わらを素材にしたストローだ。

アサヒグループ、『ふぞろいのストロープロジェクト』に参画|アサヒグループホールディングス株式会社のプレスリリース
国内の農業法人や福祉作業所、学校、自治体、食品関連企業などが参画する「ふぞろいストロープロジェクト」の一環で、フェルマ木須をはじめ加盟する農業法人が収穫した大麦やライ麦を脱穀して、残ったわらだけで造っている。洗浄や乾燥、箱詰めは障害者が行う。製品はすべて食品安全分析センターによる残留農薬や細菌数などで安全の基準を満たしている。


国産麦の振興と脱プラに向けて

運営する一般社団法人広域連携事業推進機構によると、麦わらのストローは120年ほど前の日本に存在しており、発祥は岡山県とのことだ。しかし、いつしかプラスチック製のストローが主流になり、麦わらのストローは消えていった。それを復活させる意味は、国産麦の存在を知ってもらいたいということに加えて、世界的な脱プラの流れを受けてもあるとのこと。



周知のとおり日本の麦産業は外国産の麦に大きく依存してきた。しかし、最近になって食品加工会社と連携した国産麦の普及が広がってきている。プラスチックについては人間による無責任な投棄によって、海洋汚染や海洋生物の生態に深刻な事態をもたらしていることが報告されている。

一般社団法人広域連携事業推進機構は麦わらを原料にしたストローの普及目標として1000万本を掲げた。その実現のために、クラウドファンディングも立ち上げた。加盟する農業法人が生産した麦を使ったビールやタンブラーなども紹介されている。


株式会社フェルマ木須公式サイト | 佐賀県伊万里市で安心安全、高品質な農産物を育てています!
https://fermakisu.co.jp/
1本のストローから世界を変える!120年の時を経た「ストロー」をみんなに届けたい - CAMPFIRE (キャンプファイヤー)
https://camp-fire.jp/projects/444217/preview?token=d4fy7iuy&fbclid=IwAR3DBfjwApiOEDvcu672brjmB4fRwv2oadvCQSCxfqTYTVGrtAqAD-VcIWE
アサヒグループ、『ふぞろいのストロープロジェクト』に参画|アサヒグループホールディングス株式会社のプレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000050.000058947.html

【コラム】窪田新之助のスマート農業コラム
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. 北島芙有子
    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
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    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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    鈴木かゆ
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    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
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