メーカーに依存しないスマート農業の実践【窪田新之助のスマート農業コラム】

1カ月ほど前、果樹の大きな産地でスマート農業について講演した際、会場からこんな質問をもらった。

「労働力不足の問題が深刻なので、スマート農業はぜひやってみたい。でも、果樹ではまだ実用化されているサービスや製品は非常に少ないから実践できない。どうしたらいいのか」

農林水産省に取材した限り、果樹にかかわるスマート農業で特筆すべきものは防除と防草を一台でこなせる自動走行ロボットの開発がなされているくらい。

しかもそのロボットは、改植、つまり果樹の植え直しを前提にしている。


果樹について詳しくない方のために説明すれば、果樹の仕立て方は品目ごとに違うだけではなく、同じ品目でも地域や農家個々によって異なる。ある園地で使えるロボットを造ったところで、別の園地ではまるで使えないということが起こりうる。だから古い樹を伐採して新たに果樹を植え直し、走行や作業の邪魔をしない樹形にする必要に迫られる。

しかしそれでも問題は残る。果樹を植え直すことで今度は果実が実るまでの5年以上の歳月を要し、その間は収益を望めないからだ。

もちろん、そのようなロボットを活用できる環境が実現できるのは、果実が成る5年以上先の話。では、メーカーがロボットを発売するまで待つしかないのかといえば、そんなことはない。私は先の質問に対してこんなふうに答えた。

「技術の壁は低くなっているから、どうしても必要であれば、自分でつくってみるのも手なのではないか」

事例として挙げたのは、静岡県湖西市の農家・小池誠さんが開発しているキュウリの選別機。元システムエンジニアの小池さんは、ディープラーニングを使って、専門家の手を借りずに選別機を作ってしまったのだ。

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WRITER LIST

  1. 三好かやの
    みよしかやの。しがないかーちゃんライター。「農耕と園芸」「全国農業新聞」等に記事を執筆。八王子市ユギムラ牧場でかぼちゃの「いいたて雪っ娘」栽培中。共著『私、農家になりました。』(誠文堂新光社)、『東北のすごい生産者に会いに行く』(柴田書店)等がある。http://r.goope.jp/mkayanooo
  2. 山口亮子
    やまぐちりょうこ。フリージャーナリスト。京都大学卒、北京大学修士課程修了。時事通信社を経てフリーに。主に農業と地域活性化、中国を取材。
  3. r-lib(アールリブ)
    これからのかっこいいライフスタイルには「社会のための何か」が入っている、をコンセプトにインタビュー記事やコラムなどを発信するメディア。r-lib編集長は奈良の大峯山で修行するために、毎年夏に1週間は精進潔斎で野菜しか食べない生活をしている。
  4. 水尾学
    みずおまなぶ。滋賀県高島市出身。大学卒業後、電子機器関連業務に従事。2016年に自家の柿農園を継ぐと同時に、IoT農業の実現を目指す会社、株式会社パーシテックを設立(京都市)。実家の柿農場を実験場に、ITを駆使した新しい農業にチャレンジしています。
  5. 窪田新之助
    くぼたしんのすけ。農業ジャーナリスト。福岡県生まれ。日本経済新聞社が主催する農業とテクノロジーをテーマにしたグローバルイベント「AG/SUM(アグサム)」プロジェクトアドバイザー、ロボットビジネスを支援するNPO法人Robizyアドバイザー。著書に『日本発「ロボットAI農業」の凄い未来』『GDP 4%の日本農業は自動車産業を超える』(いずれも講談社)など。 2015年11月に発表される「農業センサス」で明らかになる衝撃の事実! 日本の農地は急速な勢いで大規模化され、生産効率も急上昇……輸出産業となる!! 日本経済団体連合会(経団連)も2015年1月1日、発表した政策提言『「豊かで活力ある日本」の再生』で、農業と食のGDPを合わせて20兆円増やせるとした。これは12兆円の輸送用機械(自動車製造業)よりも大きく、インターネット産業や金融・保険業に肩を並べる規模──日本のGDPは500兆円なので、農業が全体の4%を占める計算になる。「コメ農家は儲けてない振りをしているだけですよ」「本気でやっている専業農家はきちんと儲かっている」など、日本中の農業の現場を取材した渾身のレポートは、我々に勇気を与える。日本の農業は基幹産業だ!日本発「ロボットAI農業」の凄い未来 2020年に激変する国土・GDP・生活自民党農林水産部会長の小泉進次郎氏は語る。「夜間に人工知能が搭載された収穫ロボットが働いて、朝になると収穫された農作物が積み上がっている未来がある」と──。21世紀の農業はAIやビッグデータやIoT、そしてロボットを活用したハイテク産業、すなわち日本の得意分野だ。その途轍もないパワーは、地方都市を変貌させて国土全体を豊かにし、自動車産業以上のGDPを稼ぎ出し、日本人の美味しい生活を進化させる。大好評『GDP4%の日本農業は自動車産業を超える』に続く第2弾!

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