スマート米 玄米でクラフトビールを醸造!? 青森でのスマート農業×地産都消の取り組み

スマート農業によって生産された玄米を、地元のお店でクラフトビールに醸造し、全国に届ける。スマート農業を導入することで、減農薬という付加価値のついた作物を加工して、さらに価値を上乗せする。

全国でスマート農業の取り組みが加速する中、青森県では“地元のもの”を“地元で加工”して大消費地に届けることで、その認知度向上を目指している。

今回は青森県弘前市で実施された、そんな「スマート農業×地産都消」に向けた活動のイベントレポートをお届けする。


新たな味わい! スマート米 玄米を使用したクラフトビール誕生

2019年11月21日、弘前市のクラフトビール専門店「ギャレスのアジト」で、開店3周年アニバーサリーパーティーが開催された。パーティーでふるまわれたのは株式会社オプティムアグリ・みちのくが販売する「スマート米 玄米」を原料として醸造した、3周年記念クラフトビール「3周年けやぐのまんまラガー」。総勢70名の参加者が特別な一杯を味わった。


“けやぐのまんま”は津軽弁で、けやぐ:「仲間・友達」、まんま:「ご飯」=友達のご飯のビール、という意味。米を原料にして醸造したビールは、後味がすっきりとしたさわやかな飲み心地に仕上がっており、クラフトビール初心者にも飲みやすい。ビールが苦手だという人にも、馴染みやすい味わいとなっている。

そんな注目のビールが味わえる、今回のイベント会場となった「ギャレスのアジト」は青森県弘前駅から徒歩15分の場所に位置する、ちょっと隠れた場所にある「アジト」感満載のお店だ。

イベント当日はもちろん貸し切り! 存分に、「けやぐのまんまラガー」を楽しめる場が整っている

今回のイベントの火付け役は、みちのく銀行地域創生部の行員小山内創祐さん。「ギャレスのアジト」の創業に携わり、オプティムアグリ・みちのくのスマート米を原料としてビールを醸造することを提案した人物だ。

「米を原料としたビールを醸造する」。そんなスマート米の新たな活用方法と、大消費地でのPRにつながることを期待して、コラボレーションに至ったのである。

今回の会場となっている「ギャレスのアジト」代表のギャレス・バーンズさんは、元米軍基地の軍人だ。青森駐在中に津軽三味線の魅力に引き込まれ、そのまま弟子入り。その後、弘前でクラフトビール専門店を開業したという、異色の経歴の持ち主である。

3周年のお祝いには、「けやぐのまんまラガー」の試飲はもちろん、ギャレスさん、スマート米生産者の佐藤拓郎さん(タクロン)、そしてみちのく銀行の小山内創祐さんによるライブも開催され、会場は熱気に包まれた。

(左から)スマート米 玄米の生産者:株式会社アグリーンハート代表佐藤拓郎さん、ギャレスのアジト代表:ギャレス・バーンズさん、みちのく銀行地域創生部:小山内創祐さん、オプティムアグリ・みちのく部長:赤石淳さん


まずは、ギャレスさんによる三味線の演奏。今回スマート米 玄米で作ったクラフトビールの出来には非常に満足しており、今後のAI・ドローン技術に期待し、青森のおいしいものを全国にもっと発信していきたいと語った。3年間の想いを込めた演奏となり、三味線の力強い音が会場に響き渡った。


続くのは、佐藤拓郎さんによる演奏だ。2018年度に引き続き、2019年度も黒石市でのスマート米栽培にご協力いただいた。生産者でもある佐藤さんは「米でつくったクラフトビールは想像以上に飲みやすい」とコメントしていた。

株式会社アグリーンハートの記事はこちら

ライブの合間には、3周年にちなみ、3月生まれ、33歳、また、県南や県外からの参加者へスマート米 玄米をプレゼントする企画も開催された。


参加者は、「お米を原料にして醸造したビールははじめて、また飲みたい」「クラフトビールのイメージが変わった、軽い飲み心地である」と、口々にビールの感想を述べていた。


青森の大地の新たな味わいを体感しよう

今回の「3周年けやぐのまんまラガー」は数量限定。60㎏のスマート米 玄米を利用し、1,000リットルのクラフトビールが醸造され、東京をはじめとする全国の取り扱い店で飲むことができる。気になる方は、ぜひお近くのお店で味わってみてほしい。東京銀座のお店で試飲したという方からは「フルーティで美味しかった」という声も届いている。

スマート米は、オプティムの農業ソリューション(AI・ドローン)を活用して栽培された、オリジナルのブランドだ。

ドローンで空撮した画像から、病気や雑草の発生場所をAIで検知することで、必要なところに必要な量だけ農薬を散布した減農薬米として、2018年から生産、秋から販売を開始している。この技術を用いることで、農家の労働力を軽減でき、商品には減農薬という付加価値を生み出すことができる。

農産物の付加価値創造・効率化に寄与するスマートアグリフード事業のほか、システムやセンサー・ドローン等の販売を目指すスマート農業総合商社事業も展開していくというオプティムアグリ・みちのく。二つの事業の相乗効果により、今後ますます青森県の基幹産業である農業の効率化を目指して意欲を燃やしている。

今回のイベントで利用された青森県の地元米「まっしぐら」と2019年度から仲間入りした「つがるロマン」は、パッケージを一新しスマート米販売サイト「SMART AGRI FOOD」や、Amazonで購入することが可能。ぜひご自身でその味を体感してほしい。



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株式会社オプティムアグリ・みちのく
https://michinoku.optimagri.com/
ギャレスのアジト
https://www.facebook.com/garethhideout/
小山内創祐Official web site
https://www.sousuke-osanai.com/
株式会社アグリーンハート
https://www.agreenheart.jp/

【事例紹介】スマート農業の実践事例
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  1. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  2. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  3. 石坂晃
    石坂晃
    1970年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、九州某県の農業職公務員として野菜に関する普及指導活動や果樹に関する品種開発に従事する一方で、韓国語を独学で習得する(韓国語能力試験6級取得)。2023年に独立し、日本進出を志向する韓国企業・団体のコンサル等を行う一方、自身も韓国農業資材を輸入するビジネスを準備中。HP:https://sinkankokunogyo.blog/
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    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 堀口泰子
    堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
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